中二な俺と彼女

夕日ゆうや

ダークブレイブマスター

 俺はダークブレイブマスター。

 この世を統べる者。

 世界は混沌と闇で満ちている。

 闇を打ち払うのは同じ闇だ。

 光などではない。

 我が左腕に封印されし、黒龍炎が開放されれば、この世界に闇弱あんじゃくと破壊をもたらすだろう。


 ここまでが高校に入ったときの俺の自己紹介だ。

「我が同胞よ。さすればお主に汝の力を見せつけたまえ」

 そう呼びかけてくる女の子が一人。

「力。まさしく戦場を駆けてきたものの、言葉だな」

 俺は苦笑を浮かべ、その女の子に向き直る。

 鬨は昼休み。

 周囲の有象無象どもは引きつった笑みを浮かべている。

「汝と契約を結ぶのだ。ダークブレイブマスター」

「お主の真名は?」

「汝、アークハイプリンセス。この世を影から支える者」

「気に入った。我が配下に加わるがいい」

「では、補給としゃれこもう」

 アークはそう言い、俺を昼休みの楽園エデンへと導く。

「食わねば戦はできぬ、か」

 間違っている気もするが、今の俺は空腹に勝てずにいた。

「ふ。ダークブレイブマスターよ。何をご所望なのかな?」

 にやりと口の端を釣り上げるアークハイプリンセス。


 俺は重々しく、息の混ざった声を上げる。

「カレー、だ……」

「か、カレー……だと!」

 アークハイプリンセスは雷にでも撃たれたかのように驚いた。


 これからの生活は面白くなりそうだ。

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中二な俺と彼女 夕日ゆうや @PT03wing

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