ビオデラの剣と鎧

一陽吉

剣は強く鎧は優しく

「でりゃ!」


「ふう、あっぶねえ」


「これで全部だな。立てるかいフィーネ」


「はい。ありがとうございます、ビオデラ。魔法発動の瞬間を狙われました」


「しっかし、甲殻もちの魔物でさえ簡単に斬っちまうんだから、相変わらずの斬れ味だな、その剣」


「ああ、岩石系や金属系ならちょっと技術を使うが、それ以外だったら、力任せでもいける」


「しかも自己修復能力まであるってんだからな。鍛冶屋いらずでその分、儲けられる。おまけに鎧までときた。フィーネ嬢をかばって攻撃を受け流した籠手がもう直ってる」


「俺にも理屈は分からない。だが、これを身に着けてると安心するし、剣を持つと勇気が出てくるんだ」


「いいねえ。おいらも、そんなでたらめな能力がついた装備を手に入れてみたいもんだ」


「私たちと一緒にいれば、きっと手に入りますよ。新進気鋭の女商人、ルバイさん」


「ですな」


「みんなのためにもなる。今後もよろしく頼む」


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『手に入りますよ、か。フィーネ君には悪いが、それはちと厳しいな』


『ええ。これは秘伝の血脈魔法。血に連なる者ゆえにできる事ですから』


『だがそれを知ればビオデラはこの剣と鎧を使うのをやめるだろうな』


『そうですね。あの子は優しいから、父親と母親の魂が入ったものでは危険なことに使えないと考えるでしょう』


『こちらとしては、我が子のためにいくらでも身を投じるつもりなんだがな』


『だから、これは秘密。話しかけることはできますが、絶対に話しかけないでおきましょう』


『そうだな』


『私たち夫婦の愛娘、ビオデラ。あなたを守るために私たちはいつでもそばにいます。だから仲間たちといつまでも笑顔でいて、幸せに生きてくださいね』

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ビオデラの剣と鎧 一陽吉 @ninomae_youkich

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