第19話 なんでこんな来んのはえぇんだよ

2人が戦場に着く頃には既に戦闘が始まっていた。

「なんだぁこりゃ」

澪が驚く声を出す

見れば怪物が分身している。

分体が、ではない。本体が、だ。

「どうやら本体自体も分身してるらしいな。」

「それアリっすか」

「アリなんでねぇの怪物なんだし」

戦闘を見渡していると、ある人物が目に入る。

「……ビャクヤか」

「よし、行くぜぇ!」

「待てバカ……だぁ人の話を聞きやがれ!」

澪がビャクヤのところまで突撃する。

「……はぁ、これだからバカは」

澪の後を追った。


「流石に数が多いね」

ビャクヤは鉄剣を構えながら皮肉をかます。

その時

「ビャッ、クヤちゃーん!」

背後の分体を澪が地面にめり込ませた。

「大丈夫!?」

「う、うん。大丈夫だよ……」

「悪いな、うちのバカが」

後ろから雅人も追いつく。

「雅人くん。遅かったね。」

「悪いな遅くて。こちとら準備ってモンがあんだ」

そう言って、怪物本体を見る。

どうやら、5人組の勇者が本体を攻撃しているが、分体と本体の区別がついてないのか、それとも学習しない馬鹿なのか、攻撃するたびに増え続ける怪物に対処ができていない。

「あれが本体だね。どうやら、攻撃されるたびに分

 裂するみたい」

「そうみたいだな。じゃあ、あれを」

その時、分体が突撃してくる。

「「ッ!」」

雅人とビャクヤはそれを躱し、反撃する。

「澪ちゃん、本体を倒して!」

「うい、りょーかい!」

澪が片足を踏み出す前に雅人が澪を引き止める。

「待て澪!金平糖食ってないだろ!」

そう言って金平糖を澪に投げつける。

「やっべ忘れてた!」

それを片手で受け止め、口に放り込んで走り去って行った。

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