第17話 お前はいったい何を言っているんだ。

「勇者じゃない?」

「うん。」

では、あの証明書は何だったのか。

確かに彼女の名義で、受験したときの平均値と完璧に一致していた。

「……なら、あの証明書はなんだ。」

「あれは偽物だよ。私が作った。」

「……。この際だ。はっきり言おう。お前は、何者

 だ。」

彼女の仮面が少し傾き、仮面の顎と指をくっつける。

「私は、どこで生まれたのかわからない。けど、私

 はやらなきゃならないことがある。だけじゃ、駄

 目?」

「……駄目だ。第一、お前が勇者でないなら、どう

 してお前の身体から魔力を感じる?」

彼女の仮面が俯く。

「……それには、答えられない。」

「悪いが、それだけは答えてもらう。」

「……」

「……」

沈黙の拷問は、突然の第三者によって遮られた。

「だぁー!おぉ~わッッッたぁァァァ!」

バゴォ

扉が勢い良く開き、手合わせを終えた澪が勢い良く部屋に突撃して来る。

(このタイミングで……チッ)

「あ!ビャクヤちゃんいるやん!なに〜隠し事して

 んのかぁ~?」

「いやいや、晩ごはんの感想を言いに来ただけだ

 よ。」

「あ、そゆこと」

「それじゃ、2人共、おやすみ。」

ビャクヤは椅子から立ち上がり、部屋から出ていった。

(言いくるめられた……クソッ)

結局、ビャクヤの正体には何一つ近づくところか、遠ざかってしまった。


       〜ビャクヤside〜

(これで、何が変わるかな。)

自室に戻る道中、ビャクヤは今までの事を考えていた。

(そしたら、あとは澪ちゃんだけに相手させて、私

 と2人で分体の相手をしてもらって……)

自室に到着し、ドアを開き、カギを締め、ベッドに横たわる。

(17362回……)

仮面を取る。

(あと、何回もつかわからない。だから……)

そして、彼女は目を閉じた。


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