第14話 人生洗濯機の鏡は何を映すか。

「…ふぅ…」

チャポ…と静かに水面を揺らし湯船に浸かる。

「………。」

彼女ビャクヤは1人の時は余り話さない。

話す程、彼女の心はまともな物では無かった。

「……、」

風呂場の鏡とふと目が合った。

身体はボロボロの傷だらけ、髪も、魔術彼女の無理で黒く長い髪はその殆どが色を失い、黒いものを探す方が難しい。

「………」

自らの胸に手を当てる。

微かな鼓動が手に伝わる。

(大丈夫。まだ、まだ、行ける。まだ、生きてる)

ーーー本当に?

(ッ)

ーーーもしかしたら、死んでいるかもしれない

(いや…)

ーーーこれは嘘。幻。ただ、その繰り返し。

(違う。それは、違う。)

ーーーでも、どうやっても、同じ結末になる。

(それは…)

ーーーどう抗っても、運命は変えられない。

(…)

ーーーだから、ここから早く逃げt

(ッ!)

ザバァッ

大きな音を立てながら勢い良く立ち上がる。

(どうやっても変らなくても、それでも、行かない

 と。だって、私はー)

己の悪しき心の囁きを拒絶し、また、無意識下に送り返す。

(絶対にーー)

ガララッと戸を開け、風呂場を後にした。

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