わたしの紫

 につみて

 いつしかも 

 むらさきかよひける 

 野辺のべ若草わかくさ











 あぁ、

 はやく わたしのものにしたいよ、

 あなたのことを。


 藤壺の宮(紫)と血縁のある 

 子ども(若草)である

 あなたを。












 藤壺は、紫草。

 だから、少女は若紫。




もととなった歌。

むらさき一本ひともとゆゑに

 武蔵野むさしのくさはみながら

 あはれとぞ る」(古今和歌集)


 愛する紫草一本のせいで、

 その野原に生える草花が すべて

 いとしく思われる。
















 わたしの いとしい 若紫よ

 いつまでも わたしの そばで

 わらっていておくれ……









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秘密【カクヨムコン9創作フェス】 結音(Yuine) @midsummer-violet

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