家猫たちの日常

ピピ

だい1わ

ワタシはいわゆる家猫。

ワタシがワタシと言うのはご主人がたまにワタシと言ってたから。


ご主人の言っている事は何となくだけどわかる。

仕事が疲れたとか彼女と別れたとか飯がうまかったとか。良いことも嫌なこともワタシに何気なく言ってくる。


時々よくわからないことをしている事もあるけどご主人であることは変わらないからワタシは気にしないよ。


『おーい、ミルク~主人がまた変なことしてるぞー』

『また?』


今ワタシに話掛けたこの猫はこの家の先輩猫だ。よくご主人と猫じゃらしというもので戦っている。名前はシン。一応シン先輩って呼んでる。

それとワタシの名前はミルク。ミルクみたいに白くて溶けそうだからミルクって名付けたみたい。ワタシは気に入ってるよ?安直でもワタシをちゃんと名前で呼んでくれるから。

そういえばシン先輩の名前ってどうやって決めたんだろう?知らなかったな。


『ミルクー?』

『なーに?』

『主人の様子見なくていいのか?』

『見るー』

『おう、今日もやってるぜー』

『あれって何をやってるの?』

『ん?あー確か歌ってやつだな』

『歌?』

『俺にもよくわからん』

『そっかあ』


そう言ってワタシたちは耳に入ってくる音を何気なく聴いていた。

ときどき聴いていると自然とテンションが上がって暴れる(部屋を走り回る)こともあるけどワタシは楽しいからいいの。


そうしている内に歌は終わったようだ。ワタシたちが此処にいることが気づかれる前に隠れようと思った。


『行こー』

『そうだな』


声を掛け合い足音をたてずに廊下を駆けて階段を下りていった。ただいつの間にかシン先輩とどちらが先に一階に下りれるか競争していたことはワタシたちだけの秘密だ。

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家猫たちの日常 ピピ @Kukkru

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