微笑ましいおままごとして、笑顔で過ごしたいもん
「ねえ。ムーンショッターってこの子だけ? いやあ、ずいぶん平和に終わりそうだねえ」
水鏡冬華が遺跡の奥を示す。
「春女。奥見なさい。増援よ」
「うげー面倒くさい」
ヒラヒラと手を振りつつ
ドン!ドン!ドン!
いきなり3発のエネルギー波がさゆを襲った。
それはさゆの体をジグソーバズルみたいにバラバラしただけである。
さゆは後ろのムーンショッターと彼にくっついてる女をかばった事になる。
「すぐくっついちゃうよー」
それを知っている彼女の知り合いは動じない。
「お前ら下界の肉人形は大変ね。体一度壊れただけで大騒ぎ。
免疫ちょっと揺らいだだけで大騒ぎ。
エンキドゥの話で伝わってるでしょ? あれ神に自己免疫疾患にさせられて死んだんだもんね。エンキドゥもお前らも地球のまぎれもない土人形よ。
でギルガメッシュ君ぼろぼろになってウトナピシュティムに不死の秘訣教わりに行くの。
なんで土人形で弱いくせに取り返しのつかない事ばかりできるの? 戦争とかもさ?
わたしと違って体一度吹っ飛んだら終わりの体でなんでひどい事できるのかな?
今わたしかばってなかったら、ムーンショッターの男の子死んでたよ?
せっかく戦いなしでいい感じになれそうだったのにさあ」
さゆにそういう攻撃は通用しない。
上級妖怪はボディの破損なんて気にしない。妖怪は妖気が重要なのだ。ボディなんて妖気が残っていればすぐに直せる。
「む。さゆが本気で怒ってる。すまん遅れたか……」
「いえ、何も手遅れじゃあありませんよミハエルさん」
「ういっすミハさん」
「いやあ、彼女を能天気モード解除させたって時点でなんか手遅れって気になるなあぁ」
「そりゃま、そうかな~?」
フレッドが敢えて気楽な口調で返す。
さゆがピンク色の霊気を遺跡に伸ばして中にいる奴を掴まえた。
「わたし、何かを奪うことに必死になってるやつ見るの大嫌い。
わたしは平和で呑気な世界が大好きなんだもん。
微笑ましいおままごとして、笑顔で過ごしたいもん。
こんなのする奴なんてひどいよ」
さゆがピンク色の霊気を戻した際、ルシファーの色が濃い重度のムーンショッターが遺跡の奥から引きずり出されてきた。
背丈は162cmのさゆより頭2つ分高い。筋肉もすごい。だがさゆの妖力をどうにかできる程ではない。
「ねえ。ムーンショッター。
どうしてお前は人殺しするの?
"どうしてお前はお前なの?"
神の教えを男の天照自身が広めてきたっていうのに。悲しいね」
「なんだ…俺と問答でもしたいってのか。
殺すのなら殺せばいいのによ。
そしたら女神にまた次の人生で強くてニューゲームだ。お前に勝てる力で生まれ変わってやる」
「ははっ、あの他人を操作するしかないルシファーが?
無理無理。あいつの能力超えてるって。
だってあいつわたしより弱いもん。遺伝子いじるの得意なだけでさあ。
わたしより弱いって事は
「はっお前こそあたまを巡らせろよ。
女神は"何でも願い"をかなえると言った。
だから女神に言って"俺自身に何でも願いを叶う力を宿らせる" それで宿った力で自分自身を力底上げしてどんな神よりも強い俺の誕生だ。
当然、お前みたいなピンク野郎よりもな」
はぁ~~~。と桜雪さゆは大きくため息をついた。
そしてさゆは大きくかぶりを振ると、
「もう一度言わせてもらうね。
『どうしてお前はお前なんだ?』
お前みたいな奴結構最近に殺してんだわ。わたし。
そいつは転生後には関係ないことばかりほざいてたなぁ。
あとお前の矛盾策略。
何でも願いを叶える物で自分を何でも叶える物に作り変える、それがどんなロジック的破綻を引き起こすかわかんないの!
自分が痛い目見たからって他の関係ない人傷つけちゃダメだよ。他の世界だろうかね。
他の惑星の生き物は地球人のサンドバックじゃないのよ!
転生前のをなんとかしたいなら転生後じゃなくて転生前にどーにかしなきゃいけないんじゃないの。
自分に痛い目を見せた奴に直接仕返さないといけないのにどうしてお前は関係ない他人で憂さ晴らしする肝っ玉ちっちゃい奴になったの?」
「うるせえなあ! やるんならさっさとやれ!」
「心に響かない、か……」
と心底残念な様子で桜雪さゆは大男の心臓を抜き手で貫いた。
「本当。なんでこんな奪う行為を笑顔でできるのか信じられない。
ゲームじゃないのよ。人ができる事は人殺しだけって思わせないでよ」
そういうさゆの頬には涙が光っていた。
びゅるびゅるびゅる!
泣くさゆを不意にお構いなく霊気の鞭でからめとり手繰り寄せる別のムーンショッター。彼の身長はさゆより頭1つ分くらいたかい。
さゆの仲間はそれを見ても動かない。
「隙ありぃ。さっきの様子だとこちらを全滅させるんだろう?
まだ死にたくないもんね。この鞭で捕らえた美人ハーレム無駄にしてたまるか」
さゆは抵抗もせず彼に引きずられつつける。
いや。口では抵抗した
「美人侍らせたせれば口説けよ能力で女の頭パーにするんじゃなくてさぁ」
「うるさい。転生前の俺の国では男性が女性に話せば罪になったんだよ」
「それ地球の貴族の戦争の策略じゃない。
"出生率をさげて"ネットでは男女を仲たがいさせるよう書かせる。
その構造を転生前に気づいて男も女も仲良く手を繋がなきゃいけないのに、なーに転生して逃げてんの。女を鞭で痛めつけるだけの意気地なし」
「きっきさま、お前なんかハーレムにも加えてやらん! 吸収!
この霊気の鞭で縛り上げた状態だと相手の能力も吸収てきるのだ! 泣いて許しを乞え!」
「……………………」
さゆはあきれてものも言えないって感じだ。
そしてさゆは男に吸収され吸われたように見えた。
が一瞬後。
どかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!
ハーレム言ってた男の体が爆発してさゆが出てきた。
「まあ、同意していないさゆを吸収って活火山お腹にいれるようなもんだからねえ。そりゃ噴火するわ」
水鏡冬華が冷たく言った。
「あんた、良かったわね。アンタだけさっきのような流れになったから生きてる」
冬華が最初相対していたムーンショッターにそう呟く。
彼は自分の彼女を手を握り合いながら頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます