第6話:アカルの女子高生もどき。

早起きの嘉幻斎が早朝からバタバタと神羅の部屋にやってきた。


「神羅、何か感じるか?」


神羅は否応なしに嘉幻斎に起こされた。


「なんだよ・・・朝からバタバタと・・・」


「なんじゃ、まだ、寝ておったのか?・・・」


「よく寝ておられました・・・何か寝言を言っておられたようです・・・」


「さな・・・とかなんとか、女性のお名前でしょうか?」

「どなたか心に思うお方が?」


「さな?・・・ん?、聞いたことがあるような、ないような・・・」

「ふん・・・色気付きおって・・・」

「なんでもいいから、さっさと起きんか!!」


「分かったから・・・朝からガミガミ言うなよ・・・」

「そんなに慌ててなにがどうしたって?」


そう言って神羅は上半身だけ起こした。


「神羅、お前はなにも感じないか?」


「起きたばっかで、よくわからないよ」


「​アカルは?・・・何か感じるか?」


「今朝から、かすかに嫌な気配は感じています」

「傀魔が異界から人間界に来る前兆かもしれませんね」

「でも、この感覚は傀魔とは少し違うように思います」

「それに夜でもないのに傀魔の気配というのは解せません」


そう言ったアカルを神羅はなにげに見た。


「うわっ・・・いつの間に・・・せ、制服着てるし」

「アカル・・・着物と袴は?」


「神羅のご希望通り、女子高生になってさしあげました」

「それにこの格好のほうが今の時代、違和感ないでしょ」


「ご希望通りって俺はなにも言ってないけど・・・」


「言わなくても着物より制服がいいって顔に書いてあります」


「アカルは気がきくじゃろうが・・・」


「まあな・・・だけど、どこの制服?それ」


「知りません」

「どこかの洋品店のマネキンに着せてあったものです」


「洋品店って・・・どうやってパクってきたんだよ」

「漢字で言えば瞬間移動、英語で言えばてテレポテーション」


「瞬間?移動って?・・・そんなことができるのか?」


「呼び出された時、私は瞬間移動して次元を超えてきますからね」


「おいおい、それって泥棒じゃん」


「制服代はちゃんと置いてきましたよ」


「その金も銀行からパクってきたんだろ?」


「ご明察・・・」


「あのね〜店に金置いてきても、その金盗んでたら意味ないだろ」


「人間界が危ないって時に、そのようなわずかなこといいではありませんか」


「わずかなことでも、やっちゃダメだからな・・・」


「分かりました・・・もうしません」


「おまえら・・・もうそのへんでよかろう?・・どうでもいい話をしおって」


「どうでもよくない!!」

「こう言うことはちゃんとしとかないと」


「お前も案外細かいのう、いいではないか女子高生もどきでも」


「だってさ、アカル・・・そんな短いスカートで傀魔と戦うのか?」


「そこですか・・・やはり男子ですね」


「えっ?いや・・・そう言う・・・なんて言うか・・・」


「男子として正常な反応だと言ってるんです」

「こういう場合そう言う反応は正しいのです、 何も感じないようでは男子として

性欲や闘争心の欠落につながりますからね」

「大丈夫ですよ、ご自分を守ることで精一杯で私のパンツなど見てる余裕は

ないと思いますから・・・」


「見ないようにするよ・・・なに言ってんだよ」


「では、超ロングスカートにしましょうか?」

「そしたら見えないでしょ・・・私のパンツなんか・・・」


「スカートにこだわるな〜・・・じゃなくてせめてジーンズとか

スラックスとかのほうが動きやすいだろって言ってんの」


そんな神羅とアカルのやりとりを見て、嘉幻斎が横槍を入れた。


「え〜いもう・・・おまえらよく揉めるのう」

「まったく・・・イチャイチャするのは平和になってからやれ」


「イチャイチャって・・・」


「それより、傀魔じゃ・・・」

「じゃがまだじゃ・・・やつらは昼間は動かん」

「夜が近づくごとに気配と匂いがきつくなるぞ・・・」


「今夜あたり、もしかしたら現れるやもしれのう」

「奴らは、たいがいは丑三つに現れるからの」


「丑三つって?」


神羅が聞いた。


「夜中の2時から2時30分くらいを丑三つ刻と言うのです」


アカルが答えた。


「じゃから、その時間帯に」

「匂いを辿っていけば、傀魔と遭遇するじゃろう」


神羅はアカルが言った傀魔を操る者のことを嘉幻斎に言ったが

そんなことくらいは嘉幻斉も知っていた。


「そやつを倒さねば傀魔をいくら倒しても終わらん 」

「傀魔を倒すと同時に背後で蠢くやつの正体も暴かねば・・・ 」


つづく。

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