第4話:アカル。

「久しぶりだな阿加流姫・・・」


「嘉幻斎様・・・お久しぶりです」

「・・・ちょっと手間取りました」


「暇してたところに急に呼び出されたものですから・・・」

「慌てて来たので、このいでたちですが時代にそぐいませんか?」


阿加流姫と呼ばれた女性は着物に袴の姿だった。


「別にかまわんと思うが・・・」


「夢幻斎様・・・私を呼び出したのは、こちらの方でしょうか?」


阿加流姫は神羅のほうに向かって手を差し出した。


「そうじゃ、世代交代じゃ」

「わしもそう長くはなかろう・・・」

「ワシのひ孫の神羅じゃ、これからは神羅とともに傀魔と 戦ってんくれ 、

頼むぞ」


「神羅様?・・・想像してた神霊と違いました?」


「いや・・・女の子だなんて聞いてなかったから・・・」


「もっとマッチョで、ごっつい化け物かなにかだと思いました?」


「って言うか・・・神霊って言うからもっと威厳に満ちてるとかと思って

たから・・・」


「わりかし普通の女子高生みたいで悪かったですね」


「そんなこと言ってないだろ?」


「くすくす・・」


「調子狂うな〜」


「嘉幻様、私を召喚したと言うことはまた傀魔が出たのですね?」


「不運な動きはあるな・・遅かれ早かれやつらは異界からやってくるぞ」

「せかっく平和にやっておったのにな・・・」


「私はまた人間界で暮らすことができて嬉しいですけど・・・」


「神羅様・・・あなた、私の足手まといにならないようにしてくださいね」

「召喚士を守りながらでは思う存分戦えませんから」


「俺だって剣道で鍛えてるからな」

「竹刀と抜き身では違います」

「ま、いいですけど・・・私優秀ですから・・・」


「とにかく、召喚は成功したことだし現時点で傀魔の気配を感じられんから、

しばらくは何もすることもなかろう」

「二人ともゆっくりしていいぞ」


「化け物退治をする者同士、ちゃんとお互いの交流を深めておかんとな」

「どこまで交流を深めるかは、おまえら次第じゃがの」


「あ、あのね・・・」


「ま〜、何事もそれからじゃ」


神羅と阿加流姫は嘉幻斎と別れて神羅の部屋にひっこんだ。


「お姫様、そこに座って、ゆっくりして」


「失礼します」


「君を見てると着物に袴だからどこかの女子大の卒業式みたいだ」


「あら、やっぱり女子高生の制服のほうがよかったですか?」

「言ってくだされば衣装変えられますよ」


「あ〜いや、いいよ、そのままでいいよ」

「凛々しく見えるし・・・」


「ところで君は阿加流姫は・・・一度呼び出せば傀魔を退治していない時も

っと人間界にいるの?」


「アカルでいいですよ・・・私のこと」


「アカル?」


「そう呼んでください、そのほうが呼びやすいでしょ」


「じゃ?アカル・・・どうなの?」


「私が人間界に、ずっといられるかどうかって質問ですけど・・・それは

召喚士がいて欲しいと思ってればいることはできます」


「私が必要じゃないのなら神界に帰りますけど・・・」


「そうか・・・じゃ〜ずっといてくれた方がいいかな」

「君がいると、こうなんて言うの、ぱ〜っと花が咲いたってみたいに家の中が

明るくて華やかになるから・・・」


「太陽神の末裔ですからね・・・私」


「あ〜神様か・・・にわかに信じがたいな」


「私がその証拠です」


つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る