第3話 結論!期待する方が馬鹿!

 クソ野郎への正当な要求を済ませた後にすることはもう決まっている。この世界についての説明はあそこで長々受けたので、転生後に世界観を把握する必要はない。予習済みが最高だってはっきりわかんだね。


 この場所には特に危険なモンスターなどは出てこないので、ステータスにチートのない俺でもほっつき回って大丈夫だ。死んでも生き返らせてあげる♡とかのたまわれたがそんなんごめんだからな。痛いのも苦しいのもできるだけ避けなければ。

 さくさくと地面を踏みしめ、低木やつたをかき分ける。結構生い茂ってんだなこの森。野生にあんまり慣れてない現代人にとっては辛そう。


「あっうさぎ……えっとこれなんだっけ」


 低木の陰に隠れつつ、自称神からもらった図鑑をリュックから出し、めくる。写真つきなので一発で分かる親切設計。だがその項目にたどり着くまでがめんどくさい。これやっぱりクソ仕様だわ。そもそもアナログじゃなくてネット検索エンジンくらい用意しとけって思う。


 モスラビットとかいう安直な名前のうさぎは、その名の通り緑色をしている。あと背中に生えてる。苔が。ふぅん、としか言いようがないが、あの苔は民間療法に万能薬として用いられることが多々あるらしい。そんな豆知識別にいらねぇんだけど。

 ……というか今確認したんだが、あの神が持たせてくれた装備が貧弱すぎる。ナイフ、革袋(多分飲み水入れるやつ)、先程の図鑑、ロープ、木の皿と木のフォーク、木のスプーン、鍋、ペンとインクが合体したような簡易的な筆記用具、紙、いくばくかの硬貨とそれの入っている布袋。

 この辺に関しては俺も詰めが甘かった。まんまブーメランで過去の自分の言葉が突き刺さる。これちゃんと準備してくるべきだったな。まぁあんまり荷物が多くても俺の貧弱なステータスでは持ち運びし辛いからこれで良いと言うべきかもしれないいが……硬貨の価値に関しては……辞書で調べてみます。はい。


 結果とんでもねぇ大金だということを知った。大商人同士の取引程度でしか使われないやべー高価なやつっぽい。なんだこれ扱いに困りすぎる。白金貨って字面からして高そう。こんなもん持ってたら争いの火種にしかなんねぇし、それとオール白金貨で揃えるのやめて。マジで。そのへんでポンと使えないの勘弁して。


 仕方がないのでもう一回クレームを入れ、自称神に銀貨と銅貨(この世界だと白金貨、金貨、銀貨、銅貨って順番で価値が高いらしい。物価とかはよく知らん)をよこせと訴えたところ、「今そちらに転送します」とのこと。ふぅん少しは使えるじゃん。元はといえばお前のせいだけどな!


 虚空から現れた銀貨と銅貨を布袋にしまい、またあるき始めた。この森は小規模らしいのですぐに外に出られると思う。

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無茶苦茶な自称神に異世界転生させられてしまった俺、異世界でやらかしまくったなろう系主人公の尻拭いをする羽目に~本当そういうの求めてないしこれは前フリでもないからマジでやめろ~ ぬるめのにこごり @kgpodfuo8556e

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