物知りのサユリ番外編「危機一髪」

TiLA

「危機一髪」

「オハヨー、サユリ!」


「おはよう。今朝は遅かったのね」


「テヘヘ。目覚まし忘れていて、危機一発で遅刻するところだったよ」


「危なかったわね。ちなみに『危機一発』ではなくて『危機一髪』が正解よ」


「え⁉︎ そうなの? 黒ひげ危機一発』ってゲームがあったから、てっきり『危機一発』のほうかと思ってたよ!」


「危機一髪の語源は中国の『危うきこと一髪の千鈞を引くが如し』からきてるの。一本の髪の毛で1,800kg(千釣)の重さを持ち上げるくらい危なっかしいという意味よ」


「そうなんだ! 髪一本くらいのタッチの差ってことかと思ったよ!」


「その場合は『間一髪』になるわ。似たような言葉で『紙一重』があるけど、これはA者とB者の差が僅なときなどに使われるわ」


「へぇ〜。ちなみに髪の毛一本で持ち上げれる重さってどれくらい?」


「人によって幅があるけど、わかりやすくいえば0.18kgよ。だから千釣は約1億倍ね」


「それって危ないっていうより、そもそも無理だよね⁉︎」


「そうね。ところで、さっきの『黒ひげ危機一発』だけど、海賊の人形じゃなくてレーザー・ラモンHGが飛び出す仕様のものが販売されたことがあるの」


「そうなんだ。発射するときに『フォーッ‼︎』とか叫びそうだね」


「実際そうみたいよ。他にも『ばっちこーい!』とかね。ところが同性愛支持団体から同性愛者に対する差別を助長するものだと訴えられたそうなの。剣で串刺しにして、刺さったら痛くて飛び上がるみたいなのは残酷だって」


「う〜ん。差別する気は毛頭ないけど玩具でしょ? クレーマーと紙一重じゃない? あっ⁉︎ これってさっき覚えた言葉でポイント高いかも!」


「ふふっそうね。それでメーカー側の回答は『そもそもこのゲームは囚われた海賊を救出するためのもので、縛られた縄を剣で切ることが目的のものです』だったそうよ」


「え⁉︎ 海賊ゲームってそうなの!」


「そうよ。だから人形を発射させた人が『勝ち』というのが本来のルールだったそうよ。だから『黒ひげ危機一発』。まさに一発大逆転の話よね」


「へぇ〜。それはメーカー側も間セーフだったよねぇ」


「ふふっそうね。黒ひ危機一髪といったところかしら?」





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「物知りのサユリ」本編はこちらで連載中です。

https://kakuyomu.jp/works/16817139557267697611

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