赤ひげ危機一髪!!

野林緑里

第1話

「ねえねえ、どうせやるなら本来のルールでやらない?」



「本来のルールってなに?」


「ああ、知ってる! たしか赤ひげを飛ばした人が勝ちなんだよね!」


「ええ? なにそれ!?  ふつう赤ひげ飛ばしたら負けでしょ」


「違ったらしいわよ。本当は逆で赤ひげを飛ばしたら勝ちだったらしいんだけど、いつのまにあ赤ひげを飛ばしたら負けになっちゃったみたいなの」


「そうなんだあ。でもそれもいいかもね。よし!赤ひげ飛ばしたら勝ちでいこう!」



そういうことになり、私のたちは四人で早速本来のルールに則って赤ひげを飛ばしたら勝ちということで順番で指し始めた。


赤ひげ危機一髪は何度やってもナイフを刺すときはドキドキしてしまう。


ハラハラ・ドキドキしながら、指し終えるとなぜかホッとしてしまうのだ。


いやいやホッとしてはいけない。


刺して赤ひげを出したら勝ちなんだから残念がるはずではないか。


でも、なんか赤ひげが飛び出さなかったことにホッとする。



ピヨーン!


私の番がきてナイフを刺すと赤ひげが飛び出してくる。


「あああ!」


私は嘆く。


「やったあ!」


残りの3人はガッツポーズ。


「違う違う。これはミサが勝ちなんだよ」


言い出しっぺのルミカがいう。


「うーん。なんか勝った気がしないなあ」


「うん。たしかに私が勝った気分だわ」


言い出しっぺのルミカが応えた。


「やっぱり本来のやり方でよくねえ」


「そうだよねえ」


「そうだのね」


「よし、もう一回やろう」


そして、私達は赤ひげ危機一髪を再び始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

赤ひげ危機一髪!! 野林緑里 @gswolf0718

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ