笑う門には……

海空

ゾッとした話

 まだ独身だった頃、真夜中に横浜市内を女4人でドライブした。ドライブといっても観光地じゃなくて、ほんとその辺。


「あたし、ペーパードライバー」


 の一言で、その子の教習が始まったのだ。

 ちなみに前日からほぼ寝てない。テンションの高い状態です。


 真夜中なので人もいなけりゃ車も少ない。出だしはガタガタしてたけど、スピードもそんなに出てないし、まあまあの運転。一番車に慣れている子が助手席に座り、色々とアドバイスや確認の補佐なんかをしていた。ちなみに海空はオートマ限定なのでマニュアルはわからない。

 

 すると前方に春日部ナンバー。


「あ、海っちと同じとこじゃん」


「は? 違うし、あれ春日部だし」


 この頃の海空、『あー言えばこー言う』の適当返しをしていたのだが、え、お題が春日部? 春日部の方、申し訳ない。この時『春日部』を知らなかった。名前は知ってても何があるとか、何が有名とか知らないのでピンチに陥った。しかし口は動く、大脳を介さず口の運動神経に命令が伝わる……そう、いわゆる反射。


「春日部はさ、春の日の部だろ?」


 苦し紛れのそのまんま発言。しかし、それが大爆笑。苦し紛れすぎてツボに入ったらしい。真夜中テンション恐るべし、呼吸困難ばりに3人がヒーヒー言ってる。とりあえず危機は脱したようだ。


「春の日はわかるけどさー、部ってなんだよ」


「部活」


 また呼吸困難になってる。多分何を言ってもそうなるだろう。その後も笑いながら、「それ悪口でも何でもないじゃん」「春日部の人に謝れ」「その返しはないだろ」と突っ込まれ、その中に「赤なのに通っちゃったー」が紛れていた。


「「「えええええええええええええ!!」」」


 ゾッとした真夜中の出来事でした。

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笑う門には…… 海空 @aoiumiaoisora

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