第4話 花言葉探偵、出直す

 事務所に帰った紫苑はこれまでに気づいたことを頭の中で整理していた。

 陽水の母――晴陽はるひが亡くなったのが三年前。

 謎の水仙が咲き始めたのも三年前。

 この時期の重なりが偶然だろうか。


(ともあれ、三年前に何が起きたのか……調べる必要がある……)


 陽水は母が亡くなったと言っていたが、その死はただの死だったのだろうか。

 それに水仙の花言葉は「自惚れ」。

 なぜ水仙なのか、ますます気になる。

 陽水の父は喋れる状態ではないので話を聞くことはできない。陽水もおそらく話してくれないだろう。

 原因が分かっていれば、すでに陽水は紫苑に話しているはずだから。




 翌日。紫苑は陽水の豪邸の近所の人に聞き取り調査をした。

 陽水の家族は近所付き合いが悪かったため、あまり家族に関する情報は得られなかった。

 得られた情報は主に三つだった。


 あの家族は何を考えているか分からない。

 家族三人が一緒にいる所を見たことがない。

 母の晴陽が死んだなんて知らなかった。


 紫苑にとっては十分すぎる情報だった。

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