第2話 ガチ恋でなければ恋愛感情があるわけじゃない?

「ガチ恋」という言い方がある。

 推しに本当に恋をしてしまっているファンという意味だ。


 この場合は、推しを遠い人ではなく、現実で推しの恋人になりたいと思っている人ということになる。

 

 ただ「推しに恋をしている=ガチ恋」というわけでもない気もする。

 なぜそう思うかというと「ガチ恋」と「推しに一切の絶対に恋愛感情がない」という風に、推しがいる人が、1か0で分かれるものではない気がするからだ。


「推しにガチ恋してます」ではない子でも「推しが異性とコラボするのはイヤだなぁ」という子もいる。

 なんなら既婚でも、彼氏彼女持ちでも、推しが異性とコラボしてるのは見たくない~という人もいる。


 妬くならやっぱりある程度の恋心はある、とも言えるのではないだろうか。

 同性の友達同士でも嫉妬はあるので、必ずしも妬く=恋愛とも言えない面があるが、推しが異性と……で妬くのは、恋心としてもいい気もする。


 また、推しが既婚、あるいは彼女持ちの場合もある。

 それでも気にせず推す人もいるが、同時に「そういうのはSNSとか配信とかで表に出さないで欲しい」という人もいる。

 この場合は恋心というわけだけでなく、そういった生活的なことを知りたいわけではないというところもある。


 少し角度を変えると、同担拒否とは言わないが「私が彼を一番推してる人!」という人もいる。

 それを心の中で思うだけでなく、推しにもそう思われたい、周りからもそう思われたいになる人もいる。

 これもある種の独占欲と言えるかもしれない。


 リスナーの世界にも配信者の認知、オキニといったものがある。

 過疎の配信だと、オキニになって、DMで話すようになって、実際に会って……とあるので「配信者の恋人に」という人が、必ずしも夢を見すぎているというわけではない。


 また、配信側も生きているため、感情がある。

「カッコいい、可愛い、素敵!」といつも言われると、気分は悪くない。

 それゆえに、リスナー側でなく、配信側がリスナーに恋愛感情を持ってしまう例もある。

 演者と観客が近くなった時代ならではかもしれないが、ガチ恋のつもりはなかったのに、配信者側がそういう気で連絡してきたから……なんて話もある。


 最初に「推しがいる人が、1か0で分かれるものではない」と書いたが、それはその当人自体もそうである。

 ある時から推しの別の面を見て強く惹かれるというときもあるかもしれないし、配信側も弱ってる時に優しくされて気になって……もあるかもしれない。


 すべての人がどんな時も「そうなる可能性がある」時代、と思うのが、一番合っている時期なのかもしれない。

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