第13話 従妹は俺以外には氷のように冷たいようだ8

保健室で処置を終え、俺達は帰路に就いた。

バス停でバスに乗り、街まで戻っている。


「カラオケ、どうしよっか?」

「あっちゃん、その状態で歌えないよね?」

「ああ、確かに」

「あっちゃんと一緒に居たいけど無理はさせたくないから、あっちゃんのお家行く」

「家でいいの?」

「うん」


今は、街にある個室の喫茶店に来ていた。

だから、いつも通りの茜がいる。

ドリンクが沁みる。

一緒に食べたパスタも沁みた。

ちょっと、俺は涙目だ。


「じゃあ、帰りにコンビニ寄ってお菓子でも買って帰ろう」

「うん、アイス食べたい」

「いいよ、アイス買おうな」


茜は、ニコニコしていた。

やっぱ、笑った顔が一番可愛い。

普段の表情は、とても残念過ぎる。


「なんか、失礼なこと考えてる」

「いや、そんなことないぞ」

「嘘ついてもわかるもん」

「はぁ、参りました。

どうしたら、可愛い茜を他の人に知ってもらえるかと考えてた」

「あっちゃんだけが知ってくれてたらいいもん。あっちゃんだけの私でいい」

「うーん、独り占めしたいけど。茜にも友達作って欲しいんだ」

「独り占め…えへへ」


ああ、うん。

しっかり最後まで聞いてなかったみたいだ。

ホント、どうしたらいいのだろう。

荒療治が必要か?

でも、茜を悲しませるのは良心の呵責が…。

俺は、悩み続けるのだった。


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3.はこれで終わりです。

この話は、婚姻届と塩対応の2作品の延長線のお話です。

塩対応の『彼女』は、理由もなく塩対応でした。

今回は、人見知りになる『原因』があった。

婚姻届の『彼女』は、離れていてもずっと好きでいて約束を胸にずっと想い続けた。

今回は、『彼』の傍に居ながら想い続けています。

婚姻届の甘々曲線と塩対応の塩味曲線の交わるちょうど中間にある話です。

4.従妹の氷を解かすには に続きます。

では、また次回

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