犬猿の仲の二人が僕の両隣の席で口喧嘩しているのに巻き込まれたので,僕も本格参戦しようと思う

岡 あこ

第1話 プロローグ

放課後.2人の人物が口喧嘩をしていた.

「だから,あんたは頭が硬いのよ.ちょっと遊ぶぐらい良いじゃない.」

運動神経抜群で,茶色のセミロングヘアの笑顔が印象的な美少女の佐藤美咲がそう叫んでいた.


「私は一人が好きなので.」

成績優秀で,黒髪のストレートロングヘアの上品な雰囲気がある美少女の佐々木瑞希

そう静かに答えた.


この二人は幼馴染だった.

席替えは,基本的にランダムである.

稀に配慮によって遠くにされる事がある,この2人もそう言う試みはあったが,どちらが席を移動するかで喧嘩になったのでそれも無意味であった.結果,一人の青年を挟んで,席が凄く近くなったのだ.


その喧嘩に挟まれてる青年は,田中悠太は無視して本を読んでいた.


2人の喧嘩をしている内容は,クラスの中心でみんなでいろいろしたい佐藤美咲と一人で静かに過ごしたい佐々木瑞希は常に揉めていた.


「そんな,頭硬いからモテないんだよ,瑞希は.ウチを見習って明るくしないと.」


「今関係ないわよね.それに君もモテてないわよね.」

二人は顔は良かったがモテ無かった.それは,いつも,二人で喧嘩をしており,誰も近づけなかったのだ.


「はぁ?私のほうがモテますから.」


「証拠は?」

もう,論点もズレズレの口喧嘩だった.不毛な口喧嘩を数分間していたが,議論が永遠に平行線なので,二人は,ゆっくりと目を合わせて息を揃えた.



「「………どっちのほうが可愛い?田中君」」


間の席の青年の田中は巻き込まれた.田中は本を置き無表情で

「知るか?アホども.」

そう言って本を読み始めた.田中は性格と口が悪かった.


「はぁ?逃げるなよ.答えろよ.チキン.ウチと瑞希どっちかって聞いてるの.」


「ふう,言っても無駄よ.チキンなのだから.」


「……そもそも,心が可愛くないのでは?」

田中は自分の性格を棚にあげた.


「「お前が言うなよ.」」

そう言って息ぴったりな幼馴染っぷりを見せながら田中の机を同時に叩いた.


そんなこと全く気にせずに,

「……帰ります.」

田中は本を読み終えたので帰ることにした.


「「はぁ?えっ,……待って」」


「何ですか?」

田中は,無表情で退屈そうに立ち止まった.


「何かあるんでしょ,瑞希」


「そっちこそ,何かあるんでしょ.美咲」


「……クソ茶番乙」

中田は無表情でそう言って帰ろうと歩き始めた.


「分かったわ,こう言うのはどうかしら?田中を先にドキドキさせたほうが勝ちってのは,こいつムカつくし.ウチながら天才でしょ.」


「珍しく良いこと言うわね.美咲」


「何処がだよ.頭湧いてるのか?このあほ幼馴染集団は」

田中は無表情で暴言を吐いた.


「「はぁ」」


息ぴったりの二人を見て,田中は初めて笑った.

「仲良しですね.」

邪悪な笑みだった.性格が悪かった.


幼馴染二人は,その笑顔にイラっとしつつ青筋を浮かべていた.それから,仲良く深呼吸をして普段通りの二人に戻った.

「決定だからな,田中.まあ,ウチが可愛いから明日には終わるかな?」

佐藤美咲は,そう言って明るく笑って見せた.


「何を言っているの?私の勝ちが明日に決まるのよ.」

佐々木瑞希は,そう言ってクールに微笑した.


田中はため息をつくと

「僕がドキドキしないければ,君たち,2万円な.」


「……なんでよ.ウチらが何で,お金を」


「そうよ.それに君の主観じゃないドキドキなんて.何とでも言えるわ.」

二人の反論はまともに見えたが,その前の発言がまともでないのでもう,まともぶるのには無理があった.


田中は,その二人を見て今まで一番感情的にわざとらしく大げさに言葉を放った.

「えええ,自身ないんですかぁあああ.えええ,天下のお二人が自身が無いんですね.まあ仕方ないですよね,お二人ともモテない,心が美しくない人ですもんねぇええええ?ははは」

最高に最低だった.田中は本代ほしいなとか考えていた.


「「はぁああ.余裕だし.(ですから.)」」

単純な二人だった.


意味の分からない人格破綻者のラブコメ?が始まった.



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