架空獣録・レジエント

釣ール

レジエントの場合

 四体の管理者が人間と共存できぬ理由を探していた。


 対立するほどの度胸は皆持たないが、きっと我々獣も同類なのだろう。


 ヒトが作るフィクションのように簡単にはいかない。

 ヒトにも天敵がいたらこちらと同じ立場だったかもしれないと思うとそこだけは同情してしまう。


 レジエントは苦しい素ぶりで近づく人間に悲しさを訴えて同情を誘う。

 少し空腹だから無理もしている。


 レジエントの姿は誰からも愛着を持たれる姿をかたどっている。


 疑似餌ぎじえを使っているようだ。

 身体そのものを使っているから身体を食いちぎられるリスクはあるが。


 今日も引っかからなかった。

 いや、あえて逃したのだ。


 空腹ではないからこそできるミス。

 いつもここで、甘さを露呈する。


 それでもいい。

 何故なら、ヒトではないから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

架空獣録・レジエント 釣ール @pixixy1O

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ