相手の心を読めるというアプリを幼馴染に使ったら

キサラギ

心を読めるというアプリ

「なぁ麗奈れいな


「なんだい雄馬ゆうま


現在、雄馬の家にて暇つぶしをしている麗奈とそれに無理やり付き合わされていた雄馬。

二人は幼馴染であって一切浮いた話などない。はずである。


「最近、こういうのを見つけたんだけど」


雄馬は麗奈に自身のスマートフォンの画面を見せた。そこには

『相手の心を読めるアプリ』

と表示されていた。


「なにこれ?どうせデマカセか広告料稼ぎたいやつがしているかの2択でしょ」


「そう思うよな、でも気になると思わないか」


「まぁ、興味はある」


「だろ?」


いくら怪しいと分かっていても一度湧いてしまった好奇心を抑えられないお年頃の二人なのである。

早速ダウンロードをしアプリを開く。


そこには相手の名前、自分との関係、年代を記入しろとのことだ。


「いくらなんでもこんなんで分かるわけないだろ」


「それな」


あまりにもクオリティが低すぎる質問に2人は興ざめだと言わんばかりの表情になった。


それでも

「まぁ、とりあえず」といった感覚で手っ取り早く麗奈のことを記入していく雄馬。


一応は試してみるが、完全に期待とかはしていなかった。

半信半疑どころが全てを疑いながら

『結果』

と表示されている部分をタップした。


少しロードのラグと画面表示のラグで数秒待ち、液晶に映し出されたのは、

人の頭みたいなシルエットの中に考えていることの文字が入っているらしい。


それを見ていくと端から


好好好好好好

 好好好好

好好好好好

好好好好好好


ーと表示された。


(???????)

雄馬の頭は真っ白になった。

なぜなら意味がわからないからだ。

画面が表示されたと思ったら中国語かと思うような文字列。理解が追いつかないこと間違いなしだ。


「………」


麗奈はずっと液晶とにらめっこしたまま、何も言わない。


「なぁ、麗奈…これって…」


「中国語だね」


「多分違うぞ?」


麗奈の謎の誤魔化しは幼馴染には効かなかったようだ。


「………」


「いや、黙られても」


ただ単純に雄馬はこれが正しいのか違うのか、何に対してなのかを教えてほしいだけだ。

ただそれだなのに


「…うるさい…」


彼の考えを理解したうえで彼女は黙っているのだろう。

それにしても会話が続かないときの雰囲気は気まずいと思わないだろうか。


数秒間沈黙が続いた。

が、その沈黙の時間を終わらせたのは麗奈であった。


「…あってる」


「え?」


「そのアプリは正しい!!」


「ま、マジか!?…それで好きなのは何に対してか、聞いてもいい?」


猫とか犬とかウサギとかカメとかを想像するかもしれない…というよりもあんなにも好の漢字があるのだから同じでも対象は別だったりということもあり得るのではないだろうか。


「すべて…全てあんたのことよ!!」


「あーそうか俺かー、ってえぇ!?」


目が飛び出そうなくらいに驚く雄馬。


「…前から隣でいるときはドキドキしてたんだから、それもずっと雄馬のことを想い続けてしまうぐらいに」


「お、おう…」


気恥ずかしい気持ちになる二人。

二人の顔はどちらも赤かった。


「それで、返事は聞かせてくれないの?」


「その、アプリで確かめてくれよ」

俺の言葉より信頼できるだろ

と付け加えた。


そこまでしなくても……

と麗奈は言ったが雄馬の言う通りにスマホにさっきと同じ質問のことを打ち込んでいく。


『結果』をタップする

そこには



結結結結結

好好好好好

愛好好好好

欲欲欲


と表示された。


「なんか、下の方とかやばい感じがする…」


「これでも思春期男子なんだわ俺、見逃してください」


「ふーん、まぁ一番上の多分(私たちの)結婚のことだろうから許してあげる」


いくらどういう意味か分からないようなものであっても、こんなこじつけは飛躍しすぎているような感じもするが、雄馬は反論できなかった。


「どうもありがとうございます…?」


「それで?、これは正しいの?」


正しいといえば無条件で幼馴染から関係は進化する。進むか戻るか、この選択肢が雄馬に託されているのだ。


「もちろん、合ってる」


ここに恋人カップル成立!!


「浮気とか許さないよ?」


「する相手がいないって」


「そうかなぁー?」


「そうだよ、麗奈がいなければ俺は一生独り身だった」


「ふふっ違いない」


「それはそれで酷くない!?」


「ふふっ」



色々と会話を交わし、一段落したときに不意に

「私のこと、好き?」

と、雄馬に問う。


「幼馴染とはいえ、かわいい彼女が好きじゃないわけがない」


「なに、欲の部分出ちゃった?」

セクハラっ!とでも言いそうな顔で言う麗奈に雄馬は全力で否定する。


「違うって!」


「冗談冗談、私も好き、大好きっ♡」


麗奈は雄馬に抱きつきそのまま唇を重ねた。

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