孤高の人

羽弦トリス

第1話転落人生

平岡は今日もハローワークにいた。彼は必死に仕事を探す。

中々、見付からない。一日3時間検索機で仕事を探すと帰って行く。

彼は元々、バリバリのサラリーマンだった。

しかし、2年前に会社のパワハラ、イジメが原因で精神を病み退職して、今の身分になった。

元々、強い男だった。

しかし、パワハラが上回った。朝の6時半に出勤して、帰るのは夜中の3時がざらだった。

そして、上司は言う。

「お前が、一番仕事が出来ない」と。

また、ナマズ顔のお局さんに嫌われて、

「私に逆らうと、給料減るわよ」

が、口癖で平岡はこのお局さんと衝突していたので、給料をピンハネされていた。

よって、7年間勤めたが病気になり退職。

退職日は、誰も声を掛けてくれなかった。

クソ共が!

平岡は、最後に上司に、

「お世話になりました」

と、言うと、

「ホントだよ。お前は迷惑ばっかり……」


ドゴッ!


平岡は机を蹴っていた。最後の最後に、上司のイヤミは聞きたくない。怒りで、震えていた。

そして、彼は馴染みの居酒屋へ行き、ビールを飲んだ。心の中で、「お疲れさん」と、言う。

平岡は、当時うつ病だったが、拗らせて大学病院で統合失調症と診断されていた。

つい最近、結婚したのに仕事を辞めた。

新婚なので、必死に仕事を探した。電車代を節約して、自転車で面接地まで走った。

嫁さんのお腹には、平岡の子供がいる。


月37万円の給料をもらい、ボーナスもあり何事も無ければ幸せな結婚生活だったのに、その人生はパワハラ、イジメで台無しにされた。

ある日、ハローワークの専門援助部門の中谷と言う職員に相談した。

仕事が見付からないと。

すると彼は平岡に提案した。

「毎日、仕事を探されていますよね。ここはワンクッション入れて、取りあえずA型施設で頑張って、その合間に就職活動されてはいかがですか?」

と。

平岡は、その話しに食いついた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る