第5話 見えない道

火の守護者としての役割を完全に受け入れたアリアは、氷に覆われたグラシアの世界と、彼女が出会う運命にある少年のことで頭がいっぱいになりながら、火の神殿を出発した。


彼女はパイラの街を歩き、王国の不安を目の当たりにした。「この揺れは......前兆よ」彼女は心配そうな村人に言った。「私が調和を取り戻す方法を見つけるわ」


大地はより頻繁に震え、空気は圧迫されるような熱気に満ちていた。火と氷の不均衡が悪化している兆候だった。


一方、カエルムは氷河峰での経験で強化され、グラシアを離れる準備をした。「母上、私は行かなければなりません。ビジョンが国境を越えて僕を導くんだ」


母親は目に涙を浮かべながらこう答えた。「あなたの強さを信じています」


家族や友人たちに別れを告げ、彼らの顔には誇りと心配が入り混じっていた。彼の旅はグラシアの氷の壁を越え、未知の領域へと向かう。クリスタルのビジョンが彼を導き、パイラの燃えるような風景と、それを指揮しているかのような獰猛な少女の片鱗で彼の夢を満たした。


アリアもカエルムも、何マイルも離れた、まったく異なる世界にいながら、目に見えない力に導かれているのを感じていた。彼らはそれぞれの要素特有の困難に遭遇した。


アリアは危険な火山地帯を進むと、珍しい氷の柱に出会った。「パイラに氷?パイラに氷が?これは偶然じゃないわ」と彼女は叫び、深いつながりを感じた。


カエラムは吹雪と氷の嵐を乗り越え、一歩一歩、氷の支配力を強めていった。

吹雪に耐えながら、カエルムは暖かい泉を見つけた。「グラシアの心に炎の気配か。それが僕を導いているのだろう」と彼は言い、決意を固めた。


ふたりが遭遇した不思議な兆候、これらの異変は単なる好奇心以上のものであり、彼らの道が収束しつつあること、彼らの運命が想像以上に深く絡み合っていることを示すシグナルだった。


ある夜、2つの世界をつなぐ満天の星空の下で、アリアとカエルムはビジョンを見た。「私はあなたを見たわ」アリアは夜に向かってささやいた。


同じ星を見つめるカエルムは、希望が湧き上がるのを感じた。「僕たちはつながっている」


炎と氷の大渦の中、二人は並んで立ち、光とエネルギーが燦然と輝く中で互いの力が融合するのを見たのだ。このビジョンは、互いを見つけ出し、彼らの世界が切実に必要としていたバランスを取り戻すという決意を強くした。


パイラとグラシアの夜が明けると、アリアとカエルムは決意を新たに旅立った。未知の世界に足を踏み入れたカエルムは言った。「この先に何があろうと、立ち向かう準備はできている」


障害と啓示に満ちたそれぞれの旅は、互いへと、そして互いの世界を永遠に変える運命へと、否応なく導いていた。

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