第4話 旅の始まり

賑やかなパイラの街で、アリアは新たな目的意識を持って歩いていた。予言者の言葉が心に響き、興奮と不安が交錯した。歩いているうちに、いつもは穏やかな溶岩の流れが、まるで彼女の落ち着きのなさを共有しているかのように、勢いよく泡立っていることに気づいた。アリアは不思議な引力を感じ、いつも気にはなっていたものの、あえて探検したことのなかった古代の火の神殿、通称「ファイヤーテンプル」へと導かれた。


ファイヤーテンプルは王国の端にあり、その壁には古代の守護者と壮大な戦いの物語が刻まれていた。アリアが近づくと、空気が暖かくなり、足元の地面が深く響くような音を立てて振動した。彼女はしばらくためらい、それから重い扉を押し開けた。


神殿の中は迷路のような回廊で、それぞれの回廊はパイラの歴史を描いた工芸品や壁画で埋め尽くされた部屋へと続いていた。アリアは壁一面に大きな壁画が描かれた部屋に引き寄せられた。その壁画には、炎に包まれた人物と氷に包まれた人物の二人が、影のような人物を背に並んで立っている姿が描かれていた。壁画に描かれた炎の守護者の目は、彼女自身を彷彿とさせた。


「これは...私の運命なのかしら?」


一方、グラシアではカエルムが旅の準備をしていた。必需品をかばんに詰め込み、火の守護者と彼を待ち受ける運命のことを考えて心を躍らせた。彼の両親は、彼のユニークな能力を知っていたが、心配そうに彼の旅を応援していた。


彼の首に暖かいマフラーを巻いた母親が優しく言った。「忘れないで、あなたの強さは内にあるのよ」


「うん、母さん。...やらなければならないことなんだ」カエラムは決意に満ちた声で答えた。


カエルムが最初に向かったのは、グラシアで最も高い氷河峰だった。山頂には、自分の本当の道を明らかにするクリスタルがあるという伝説があった。吹雪の中、凍てつく渓谷を渡る危険な旅だったが、カエルムは氷の冷たさを打ち消すような内なる暖かさに導かれているのを感じた。


厳しい風と戦いながら氷河峰を登りながら、彼は火の守護者を思い浮かべた。「君は、そこにいるかい?」彼は吹き荒れる風の中、呼びかけた。


登りながら、カエルムは長老の言葉と夢の中の少女について考えた。一歩一歩進むたびに、彼は彼女との絆が深まっていくのを感じた。時間と距離を超越したような絆だった。


頂上にたどり着いたとき、カエルムは柔らかな青い光を放つクリスタルを見つけた。パイラとアリア、そして二人の世界を脅かす危険が迫っている。自分がアリアと並んでいるのが見え、二人の力が光の爆発となって闇を打ち破った。


新たな明晰さを得て、ケーラムは峰を下り、決意を固めた。自分の進むべき道はパイラであり、アリアであり、彼らだけが成し得る運命なのだと。



パイラに戻ったアリアは壁画の前に立ち、あることに気づいた。彼女は炎の守護者であり、氷の守護者がそこにいて、彼女が彼に惹かれるのと同じように彼女を探しているのだと。


「この旅の準備はできている」


アリアは決意を固め、神殿を後にした。旅には困難がつきものだとわかっていたが、彼女はそれに立ち向かい、彼を見つけ、世界が切実に必要としている均衡を取り戻す覚悟を決めた。


夜が更け、アリアとカエルムは何マイルも離れていながら、見えない糸で結ばれ、同じ星空を見上げた。

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