第24話「クレマチルェの園1」

ーーここか…。  

ァリシアティーヌ専用の別宅。

ァンナ邸はアパルトマン1軒だった…。

ルロァ家の別邸は3階建ての立派な邸宅。

さすが、ブル街と言った感じかなぁ…。

- - - - -

「…!初めまして、モア様。 

私は、ァリシアティリィヌ様にお仕えする事になりました、マチュと申します。」 

 よろしく。

「ジャンジャックさんにはモア様には協力するように申し遣ってます。」

 それは、助かります。

「ァリシアティリィヌ様は、2階にいらっしゃいます。」

「モア様ぁ!」

ーーぅ''っ!あの女。

もう会わないと思ってたのに…。

階段を登って2階へ

「2階全てが、ァリシアティリィヌ様のお部屋になります。

今は、大きな窓があるお部屋でリンヌィをされてる頃だと思います。

こちらです。」

私は、マチュ。

新しくァリシアティリィヌ様お仕えする事になった、ボゥイです。

ァリシアティリィヌ様は、ロゥジァ色の髪にルビィの眼、とても愛らしい人だ。

お花が大好きでお庭のお花をよく愛でていらっしゃる。

特に、クレマチルェがお気に入り。

それを嬉しそうに眺めてるのを見てると、私は胸が締め付けられてしまう…。

ァリシアティヌ様にお仕えして、育ち始めてしまった感情に気付いてしまった。彼女がいとぉしくてたまらない!

お仕えしてる方にこんな気持ち抱いてしまうのは、いけない事だと充分、弁えているつもりだ。

今日お越しになったのは、シェルリィヌのァンジェリカ様のご友人で治療師のモア様。

ぅ、美しい…まるでアァティアシアが動いているようだ…。


「モアさん!!」

 ァリシアティーヌ嬢お久しぶりです。

「来てくださったのね。」

 はい。なんとかしに来ました。

「モアさん、今日の髪型どうですか??」

 えぇ、とてもお似合いですよ。

「モアさん、お茶はいかが?」

 ありがとうございます。

「そのお茶は、お砂糖を2つ入れると美味しく飲めましてよ。」

 そうなのですか。

ーー面倒くさい。

敬った言葉使いをするのも、お世話を言うのも…。

 ここにいる間は、堅苦しいのはやめにしましょう。君達もだ、マチュにマリオン。私は気にしないよ。

「それなら、ワタクシの事はァリスと呼んで欲しいわ!

親しい人みんなそう呼ぶのよ!モアにもそう呼んで欲しいわ!」

 わかったよ。ァリス。

「ふふふっ。」

!?

ーー何?

何⁇この感じ⁇

変な空気が走り去った。 

「あぁッそうだ!」

ドテッ

「ィ 痛いぃ…。

モア…これを…ィィ。」

 何の箱?

「ァ…ィ…ジャンジャックさんからの預かり物で、差出し人はダンテリオン様です。」

 預かっててくれてありがとう。

…◎

ーー脚を摩りながら、持って来た。

何故か、派手に転けてたしな。

「いえ。」

ーー手紙が2つ添えられてる。

ジャンジャックとダンテから。

どうやら、ダンテからの求婚をジャンジャックが上手くかわしてくれたらしい。

ダンテからの手紙には「あの夜」がとても楽しかった事と「ちょっとしたもの」は髪飾りで贈ります。とも書かれてあった。

ソヮソヮ

ァリシアティリィヌ様は、きょどきょど…何かしたい事がある様だ…?

「モア!お庭をお散歩しましょう!  

ワタクシの起き入りをモアに見てもらいたいわ!」

庭を一周。

ちが煌めいている。

パピニァが横切った。

ァリシアティリィヌ様がモアを見つめるその目は、熱を帯びている。

ん?

なんだ⁇

「ココがお気に入りなのよ!」

 …。そうか、美しいね。…ァリス、そろそろ仕事をさせて?

. . .◎

「あ!あぁ!ごめんなさい!!」 


 脚を触るよ?

ーーまずは、何の呪いか探って見よう。

すぅっと脚を指先で撫でる。

眼を閉じて、深く、深く潜っていく…。

暗い。

暗ぁい。

静かな穴の底。

脚には力が入らない。

腕の力だけで身体を引きずる。

ぽたっ。

ぽたっ。

重さを感じる。

ぽたっ。

ぽたっ。

脚に重さを感じる。

身体が進まない。

あぁぁ、穴からの光が。

なくなってしまう…。

!!

ーー鉛の呪いか!

どんな呪いかわかれば対処法もわかる。 

 城からここに持って来た物はある?

「あぁ!このプティはお気に入りね!」

ーー「人形」…。

確かに呪いは仕掛け易い。

 見せて。

ーー何処かに仕掛けがあるはず。

レースをたくさんあしらってある人形。

黒を使わずに白から灰色の色の差を上手く使ってる。

脚を見る…太もも部分を黒いレースで囲われてる。

ーー「それ」っぽい。

でも、魔術の気配はしない。

上手く隠してあるな…。

「幼馴染が20歳のお誕生日にくれた物なの。

とても大事…。

幸せになれるおまじないが、かかってるんですって。

満月の夜は必ず、抱いて寝るの。」

ーーなるほど、満月の夜に力が発動するのか。

間違いなさそう。

ーーさぁっと手で闇を祓う。

ん?

呪いが解けない⁇

もう1つ方法をやるしかないか…。

あの女が邪魔。

 マチュはしばらく何をしてる?

「たぶん1階でタァプナァを畳んでいると思います。」

ーーやるなら今!

 それと塩をトレィに乗せて持ってきて。

「タァプナァと??」

 …しょっぱい粉。

「わかりました。」

ーー塩を軽く1杯。

 この薬で脚がよくなるはず。

ーー嘘。

これはただの栄養薬。

 さぁ、飲んでみて。

『時間だよ。』

*:*

ーー何故、出来ないんだろう?

他の事はできるのに…。

すっと手を翳す。

女は、眠りに堕ちる。 

ァリスの眼をじっと見つめる。 

親指で人差し指の先を引っ掻いて、血で陣を描いてその上に「それ」を置いた。

塩をさぁ…と。

 貴女は「それ」を手放さなくてはなりません。手放しますか?

「はい。」

ーーァリスに「手放す」と宣言させる事が目的。

意志は関係ない。 

指を鳴らす。

陣から炎が上がり人形が燃える。

ーー炎が赤紫…呪いの炎。

 さぁ、ァリス大きく息を吸って

ーー脚の方の術が、やり手の術師の仕業だろう…。 

痕跡を隠すのも上手いし、思考が熟されていた。

ァリスに燃やした人形の煙を吸わせる。

ーー燃えた人形は「存在」がなくなった。

「過去」も「未来」も。



 き…て…起きて、ァリス。きっと歩けるようになるよ。

モアが、ワタクシの脚を撫でながら言う。

そう言えば、感覚なんてなかったのに撫でられてるのがわかる。

まァ、何故⁈

あァ…モアそんな風に触らないでっ‼︎

「ァっ…。」

 感じる?

これからは毎日、脚に力を入れる練習をする事。

マチュ、手伝え。

「もちろん!」

モア…このまま会えなくなるのは、嫌‼︎

「お願いモア!

10日後に、また来て! 

良くなってるか見て欲しいの!」

 は…あ?わかった。

な な、なんとォォオッ‼︎

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