第37話 テスト直前あるあるな会話

~翌日 放課後~

 昨日の帰り道で約束した通り、今日は3人で勉強会をすることになっている。


「結月の家とか久し振りに行くな~」

「半年振りくらいかな?」

「多分それくらい」


「どうして期間が空いたんですか?」

「うーん、なんでだろう。結月は分かる?」

「家で遊ぶよりも他の場所に出掛ける形で遊ぶことが増えたからじゃないかな」


 紗理奈はその言葉を聞いて過去の事を思い返すようにボーッと歩いている。


「確かにカラオケとか、ショッピングセンターとか、結構行ったね」

紗理奈は結論に至ったらしく、再び話し始めた。

「特にカラオケはよく行ったよね」

「結月は歌も上手かったな~」


「テスト終わったら3人でカラオケ行かない?」

「おっ、いいね。時雨ちゃんの歌声も聞いてみたーい」

「私は歌なんてほとんど歌ったことがないので上手く歌える自信は全くありませんね」


「音痴だったとしてもそれはそれで可愛いからありじゃないかな。結月だってそんな時雨ちゃんも見たいだろうし」

「私は別に音痴の時雨が見たいわけじゃないんだけど」

「私も見苦しいところは余り見せたいとは思いませんね」


「そうじゃなくて、欠点のある時雨ちゃんが見たいんでしょってこと。欠点の無い人間には可愛げも面白さも感じないし」


 紗理奈の言葉には同意だ。確かに欠点の無い人間は一匹狼なイメージが頭に染み付いている。一体どこでそんなイメージが刷り込まれたのだろうか。

そんな疑問と共にもう1つ、重要な疑問が浮かんできた。


「紗理奈ってこれまで私のこと散々完璧だとか欠点が無いって言ってきたけど、私もそんな目で見てたの?」

「ああーーっ、誤解する言い方でごめん。それは絶対に無い。結月は例外」


「西園寺さんは誰にでも壁を感じさせずに接することができる人間ですもんね。近づきがたい印象も西園寺さんに対しては感じたことありませんし」

「そうそう。時雨ちゃんの言う通り」


「そろそろ家に着くね」

「勉強会なんですから伊藤さんはちゃんと勉強してくださいね」

「2人がいたら頑張れる気がする!」

「気がするだけで終わらないと良いけどね」

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