第7話 一緒にお風呂

 西園寺さんとお風呂? まだ今日仲良くなったばっかりのはずだけど……。

西園寺さんって結構距離感バグってる?


 何か裏があるんじゃないか、私は試されているのか、それともシンプルに距離を縮めるためなのか、考えながら用意を済ませ、西園寺さんの元へ向かう。


「用意できました」

「じゃあ、またさっきみたいについてきてね」

「はい」


「まだこの季節は暑くも寒くもないですね」

「寒くなってくると移動が嫌になっちゃうよ」

「そういう面では結構不便かもしれませんね」

「そうなんだよね~」


 しばらく廊下を歩き、浴室に着いた。

「ここが浴室だよ。覚えといてね」

「はい」


「浴室も流石の広さですね」

「広いからって特に機能は普通の浴室と変わらないけどね。サウナとかがあるわけでもないし」


 この家の浴室は、大人3人くらいで入っても全く狭苦しさを感じないほどに広かった。

浴槽も2人で入るには十分すぎるほどの大きさで、浴室というよりも、銭湯に近いといえる。


「時雨、良い体してるね」

「別に良い体じゃないですよ。背も低いし胸も無いし。そういうお嬢様こそ、モデル体型って感じですね」

「ありがと」


「そういえば何で私とお風呂に入ろうと思ったんですか?」

「特に理由は無いかな」

「理由が無いんですか……」

「私は別に同級生と一緒に入浴するのは何も不自然な事じゃないと思うけどね」

「私が考えすぎていただけみたいですね」

「きっとそうだよ。体、洗ってあげるね」


 やっぱりこの人は距離感がおかしい。

いきなり私の体を洗うなんて言われたらびっくりしてしまう。

後、洗うのは普通頭からでしょ。そうツッコミを入れたい。

でも断るのは西園寺さんに悪い。

ここは素直に受け入れることにしよう。



「では……お願いします」

「OK。まずは頭から洗っていくね」

この人の言う体には頭も含まれていたようだ。

指摘するかしないか迷って少しドキドキしてしまった。

もしかしたらこのドキドキも西園寺さんがそうなるように狙ってやったのかもしれない。


 時雨の小さくて人形みたいな体型。おそらく遺伝によってほんのり茶色がかった肩まで伸びた髪。良い、凄く良い。


 優しい手付きで頭と体を洗ってくれた。心身ともに綺麗に洗い流された感覚だ。

さっき西園寺さんの提案を断らなくて本当に良かったと思う。


「では、次は私がお嬢様の体を洗う番ですかね……」

「ぜひお願いしたいかな」

「はい」


 西園寺さんの腰の辺りまで伸びたサラサラで美しい黒髪。

色白でスベスベの肌。

触っていると自分がいけないことをしている気分になる。


 西園寺さんの裸体に直接触れた感想としては、手からこの感覚が離れていくのが寂しいというところだろうか。


 西園寺さんの方も同じように思ってくれていたら嬉しいな。


 


 

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