猫SFと言えばSFファンには馴染み深いことでしょう。読者を魅了してきたSFにはたびたび猫を題材としてきた作品が多いのです。猫は人生の友であり、家族であり、恋人という言葉を聞いたことがありますが、私にとっては哲学者なのかもしれません。美味しいご飯を食べて、お昼寝してハッピー、人生を楽しく生きられる存在です。今作のヴィシーもそうした哲学者でありながらクールな一面も覗かせる、可愛い猫でした。ぜひ皆さんも今作でヴィシーにメロメロになってください。
もう20年以上も前に天国に召された私の黒猫は、娘であり、恋人であり、妻でもありました。可愛がり、溺愛し、その命の火が消える時も私の腕の中でした。深い悲しみと共に、たくさんの思い出を残してくれた彼女に感謝し、飼っていたのではなく飼わせて頂いていたのだとその時悟ったのを覚えています。ヴィシーを読ませて頂いて当時の記憶がよみがえり、得も言われぬ感傷に浸りました。ヴィシーがその後の猫生を幸せに過ごせていればいいなと心より願っています。