夜ご飯

荷物を置き、男の前に座る。男の隣にはあの子が座った。テーブルの上には豪華な食事が並べられている。ローストビーフ、蟹の脚、色とりどりのサラダ。「君ぁはメロンソーダでいい?」とグラスを渡した。「あ、ありがとうございます」と男から受け取る。「じゃあみんなそろったことだし始めようか」そう言い乾杯をした。驚きながら緑の液体を喉に流し込む。強い炭酸にもっと驚く。「でさぁ、君~名前は?」ビールを煽りながら俺に聞く。「えっとぁ、ユウです。立花有」慌てて名前を名乗る。「有っていうんか、いい名前だねぇ」少し赤くなっている顔の男は続けて言う。「俺ぇは~石蕗っていうんだ。でぇこいつが俺ぇの弟子だ。挨拶しな」可愛らしいその子は「私は岩戸紫雨。よろしく」と返事をした。その後も今何の仕事をしているかとか、家はどこなのかとか話をした。一通り質疑応答が終わると石蕗さんは言った。「ユウくんさ、うちで働かないかい。どうだい?」何故か俺は予想がついていた。「ユウくん大丈夫?」続けて言う。訳も分からずに二人を見る。「涙」そう岩戸さんが呟いて頬につたう感覚で気が付いた。

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