第45話 プラモ作りとコンビニと

元旦二日目…

今日冴子は鬼無里夫妻の所へ♪

そして太郎と華恋は彼の実家へと新年の挨拶へ♪

と、思っていたんだけど…

「遭難するかもしれんよ」

「へぇ〜そうなん?そんなに積もっとるとね」

※まぁ〜断っておくが別にオヤジギャグではない(汗)


パソコン越しで母美代子と太郎のそんな会話が交わされている午前九時。

実は太郎は今から二人でそっちに顔を出すからと朝一番に連絡したのだが、その途端パソコンのビデオ通話に切り替わり現在にいたるのであった。

「ほら、みてみんね」

「…あ〜マジやん…じゃ〜しょんなかね」

それは実家の庭先の映像…

にはとても見えない(汗)

何故なら雪が積もり過ぎて庭の原型を成していなかったからだ。

なんでも美代子の横にいた父一郎曰く…

三十日から降り出したドカ雪が次の日は雨に変わったものの、深夜再びドカ雪に変わり、それが止んだのは今日の明け方らしいのだ。

つまりアイスバーン状態の上に雪が大量に降り積もった為、道路がかなり危険な状態となっているとの事だった。


「一郎パパさん、何時もこんななの?」

「え!パパ…あ…いや…こ、こんな事は十数年ぶりかな?ねぇ〜母さん」

するとこちらも横から顔を出した華恋が何気にそんな事を聞いてきたのだが、いきなり《パパ》と呼ばた一郎はまだそう呼ばれ慣れてないのか、昔の太郎の様に顔を真っ赤にしてしどろもどろになってしまった(笑)

そんな夫の姿に苦笑しながら美代子が補足した。

「そうそう紗和子が産まれた年以来やね…あの時も太郎は来れかったもんね」

「あ〜そういえばそうやった!確かあの時オヤジと博己義兄さん落ちかけたやん(笑)」

「まぁ〜あん時は流石に逝ったと思ったわ(笑)」

笑い事では無い…

だが華恋以外は大笑いである。

「ねぇねぇタッくん、何処から落ちかけたん?」

「崖♪」

「何それ!怖いし〜〜(汗)」

何気に疑問に思った華恋がそんな事を尋ねたが、その答えに一人ドン引きしていた。


そんなこんなで今回は仕方ないと言う事でパソコンでの新年の挨拶となった太郎の実家と太郎夫婦。

つまり予定が飛んでいってしまったのだ。

「さてと…これからどうするんタッくん?」

「ん〜〜ちなみに華恋さんは普段この時期はどうしてたんですか?」

「凛夜達と初詣行ったりカラオケ〜♡」

それを聞いた太郎は…

「今年は集まらないんですか?」

「だって《結婚したんだし》って皆気を使って今年は集まらなかったし…」

そう言う事らしい。

確かに彼女達ならそんな気を使うだろう。

太郎はそんな凛夜達の心遣いに感謝しつつ言葉を続けた。

「急な事ですが、アレだったら凛夜さん達と行って来ませんか?」

「え!でも…」

そう言う華恋も気を使っているのが手に取るように解る。

そんな表情だった。

「結婚しても…たまには友達とハメを外す時間も必要だと思いますよ♪」

「良いの?」

「勿論♡逆に結婚したからって変な気を使わない様にしないとストレスが溜まりますよ(笑)」

「タッくん♪」

その言葉に感動にも似た感情が溢れ出す華恋。

年の功とは言え、できた旦那さんである。

「ほら、早速連絡しないと♡もしダメだったらまたその時に考えましょう」

かくして太郎の言葉に促され凛夜達に連絡を取った華恋。

結果何時もの様に皆集まってカラオケを楽しむ事になったらしい。


一時間後…

「じゃ〜タッくん行って来るね♡」

「気を付けて行ってらっしゃい♪足が必要な時は連絡して下さいね」

「ウン♡タッくんも気を付けて行ってらっしゃいだし♪」

何時もの様におしゃれな格好にチェンジした華恋は、玄関先でそう太郎に言いなから濃厚なキスをするとウキウキしながら出掛けて行ったのだった。

それを見送った太郎は…

「さてと…自分も出掛けるかな♪」

そう独り言を言うと、外出着に着替え出掛けるの準備を始めた。


そんな彼が向かう先…

そこは商店街の一角にある真新しいコンビニだった。

以前は老夫婦がこの場所で、こじんまりとしたスーパーを経営していたのだが、寄る年波には勝てず周囲から惜しまれつつも閉店した。

しかしそれを息子夫婦も惜しみ《だったらと自分達で》と脱サラしコンビニへと業態を変えたのだった。

「いらっしゃいませ〜♪」

「あ、店長おめでとうございます♪」

自動ドアが開くと相変わらず元気の良い声が聞こえてくる。

太郎は去年十一月にリニューアルオープンしたこのコンビニが最近のお気に入りだった。

何故なら…

「太郎さん《ハイパークロームag》と《究極レインボー》何とか年末に入荷しましたよ♬」

「そうですか!じゃ〜早速物色させてもらいますね♡」

太郎はそれを聞いて大喜びで店の一角へと足を運んだ。


そう…

このコンビニは我々が知るそれとはちょっと違っていたのだ。

オーナー店(俗に言うAタイプ:土地・建物を加盟者が用意するタイプ)であるこのコンビニは、小さいとはいえ元がスーパーだった為、店舗自体通常のものとは違い結構広かったりする。

だからその特性を活かし、二階を住居&店内の一角をオーナーの趣味で模型店にしてあるのだった。

※ちなみにオーナーの趣味と言うよりも両親である老夫婦の趣味という部分が大きいのだが(笑)


だから週末や祭日とかは店の奥にある空きスペースを自宅で模活が出来ない子供達や模型好きの大人達用にフリーのワークスペースとして開放し、そこで飲み物やサンドイッチ等の軽食も出しながら、ご近所の交流の場として提供しているのである。

「お〜相変わらず品数が多いな〜♪」

棚に並べてある某老舗メーカーの塗料やエッジング、スジボリ用のアイテムの他、棚置きしてあるプラモデル本体の数もさる事ながら、制作用の道具の品揃えはそんじょそこらの店舗よりも充実していた。

だからなのか?

最近ではウワサを聞きつけたモデラー達の来店も増え、その相乗効果でコンビニの売上も上々だったりしているらしい。


太郎はお目当てのハイパークロームagや究極レインボーと言った塗料の他、古くなった道具や古すぎて使えなくなった塗料を買い直す意味でそれは大量に買い込んでいった。

それにブランクがあったせいか、使い方や知らない道具等も、たまたま店に顔を出した元店長のオヤジさんに聞きながら購入していった。

「太郎さん今回は大量ですね〜特別に配達しましょうか?」

確かにいつもならお酒や惣菜等で、そこまで買うものは多くないのだが、今回は模型絡みの商品も大量に購入している。

だから店長のその提案は凄く助かる太郎だった。

「え、良いの?助かるよ♪」

「オヤジの頃からお得意さんですしね♡それよりも模活始めるんですか?」

「ブランクが長いけどね(笑)折角模活用の部屋が出来たからまた暇々やっていこうかと思ってさ」

「お〜良かったですね〜♪ではこれからもご贔屓お願いします♡」

「勿論、オヤジさん達にもよろしく言っといて下さいね」

二人は笑顔そう言葉を交わすと、太郎はそのまま店を後にするのだった。


その一方、頃華恋はというと…



…続く…















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