第2話 ある日の偶然…もしくは必然かもな二人の出逢い♪

暖かい陽射しの中、網戸越しに窓を開けると春風が気持ちよく頬を撫でるそんな朝…

時計の針は、いつの間にか九時半を過ぎようとしていた。


…そんな土曜日…

ここに何時もと違う朝の始まりを迎える二人の男女がいた。

一人はいかにもアラサーで小太りな洗濯物を溜め込んでいる無精髭の中年男…

名は山田太郎。

おそらく独身なのだろう。


もう一人はいかにも今風なファッションとメイクを施した褐色肌の娘ギャル…

名は若菜華恋。

おそらく高校生位だろう。

本当に何の共通点も無いこの二人…

確かに今は何の接点も無いのだが…


…ん〜無いんだけど…ね…



「………」

寝室であろう部屋から出てきた彼は、上はTシャツ下はスウェット姿。

そして猫毛で多少薄くなった髪をかき上げながら、洗面台の横にある洗濯かごの中身を見て見ぬふりをして

おもむろに歯を磨き始めた。


数十分後…

無精髭も剃り歯磨き洗顔が終わった彼は、今だ溜まりに溜まった洗濯物には手を付けず、そのまま大きな冷蔵庫のドアを開けて中身を確認すると一言…

「流石に買い物に行かなきゃ不味い…」

冷蔵庫の中は様々な調味料や珍しい香辛料、後はハイボールや酎ハイの缶と卵だけで他には何も無かった。

勿論常温管理OKな保管棚も棒ラーメンが一つしかないし、フリーザルームやチルドルームも然り、空っぽである。

あ、唯一氷だけは出来ている…

「よし、洗濯は明日!先ずは買い物しよう」


…現実逃避である(笑)


どう見たって明らかに先ずは洗濯だと思う。

何故なら、そう断言出来る程洗濯籠&洗濯機の中に汚れ物が溜まっているから(汗)

どうせドラム式全自動洗濯機なんだし、普通に効率を考えるなら洗濯しながら買い物に行けば良いだけの事である。


しかしそれが解っているにも関わらず、何故に彼はそうしないのか… 

その答えは一つしかあるまい。


…彼は掃除や洗濯が嫌いだからだ(笑)


とにかくそう決めると彼は直ぐに着替えに走ると足早に部屋を後にして出掛けるのであった。


その後…

『怒涛の一週間だったけど、企画もまとまったし関係各所との打ち合わせも何とか話がついたし…本当に良かったな〜』

あえて地元にあるスーパーにはいかず、近所にある馴染みの商店街に顔を出し買い物をすます。

そして出来立ての唐揚げの香をさせながらの帰り道、そんな事をふと呟きながら公園の前にあるバス停に差し掛かろうとした時てある。

歩く彼を追い越し先にバス停に到着したバスから降り立った人物を見て、おもわず太郎は足が止まってしまった。


「………(怒)」

おそらく自分より10cm以上背が高くて…

モデルみたいに抜群にスタイルが良くて…

褐色肌にかなりグラマラスでお洒落な…

今時の…  

プラチナブロンドで

派手なネイル

白味がかったスカイブルーのウォータールージュの

娘ギャル… 

※よく事細かく観察してるよなスケベ中年…

しかも一瞬で(汗)


『あきらかに住む世界も次元さえもが違う…』

そう改めて感じざるをえないオーラが、彼女の周りだけその風景を変えながら存在していた。

ただ遠巻きから見ても解る位不機嫌そうである。


太郎は変に関わると《ヤバいかも》と本能で察すると、少しだけ足早にその場を立ち去る為、彼女の横を通り過ぎようとした。


だがその時である!

運命のBGMが二人の都合に関係無くどこからともなくなったのであった(笑)



…続く…
















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