十六杯目 ファースト

レドの部屋に向かっている最中、サヤがあっ…という顔をした。


「私としたことが、服忘れてました…」


「サヤが風呂入ってる間に乾かせばいいとも思ったが…俺の目につくしな…」


「もう見られましたし、私は平気ですけど…」


「いや、大丈夫じゃないが。俺の理解が間違っていなければ、ついさっき付き合い始めたばっかりだよな?」


サヤはクスリと笑った。

少し背伸びをして、レドをからかいたかった様だ。


「平気じゃないですよ?冗談で言っただけですから。」


「君が言うと冗談に聞こえないよ…」


マンションの右端まで歩いたところで、レドの部屋にたどり着いた。


「着いたぞ。8階、右端の部屋…これなら覚えやすい。」


「…ところで、さっきの続きします?」


「これ以上俺をからかうのはやめてくれ…理性のメーターが壊れそうだ…」


レドの頬が赤くなっているのに気がつく。


「レドさん、こっち向いてください。」


「なん…」


ちゅっ…


サヤからそっとキスをした。

互いにとってのファーストキスである。


「ふふ…こういうことですよ!」


サヤはたまに大胆なところがある。

そして、それは大抵サヤの思い通りにならないのだ。


「この後、何が起きても俺を責めるなよ…!」


「え…レドさ…んむ…」


サヤを扉に押し付け、わからせキスをした。


「ひゃっ…激し…」


「言ったろ…ほら、もう一回…」


サヤはレドの首に手を回して。レドはサヤを抱きしめ、もう一度キスをした。


キスが終わると、二人とも顔を反らす。

流れでしてしまったが、お互いこういったことは初めてなのだ。


「その…とりあえず、部屋入りましょうか…」


「…そうだな…外でするのもあれだし…」


鍵を開け、部屋の中へと入った…

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