十五杯目 マダムの視線

「わぁわぁ!結構降ってきましたね…びしょ濡れです…」


「寒くないか?風邪引くと困るからな。」


「レドさんの上着あるので!」


(言えない…下着透けてるなんて本人に言えない…!!)


サヤはワンピース一枚のため、雨に降られてびしょ濡れだった。

羽織っていたレドの上着も濡れている。

雨はどんどん強くなって行く。


道行く男たちにサヤがガン見されるため、レドは急ぎ足。

プラス鬼の形相である。


(俺の女性の下着を見るな。殺るぞ。)


圧が滲み出ている。そんなこんなあって…


「レドさんの家、ここのマンションなんですか?」


「そうだぞ。8階の部屋だから、エレベーター使うか。」


レドの家にたどり着いた。


「はい…走って足疲れちゃったので、使いましょうか。」


二人はエレベーターに乗り込み、8階のボタンを押して…


「サヤ…その…下着、透けてるぞ…?」


「え!?やだ、本当じゃないですか…!隠さないと…」


「エレベーターの間だけでいい。俺が隠すよ。」


サヤをエレベーターの壁際に移動させて、壁ドンする形で隠した。


(ちょっ…こういう隠してじゃない…!)


(よし、これで誰にも見られない…)


すると…4階でマダムが乗り込んできた。


「ちょっと!あなた何してるのよ?女の子壁に押し付けて…もしかして痴漢?通報するわよ!」


怪しまれてしまった…


「あ…いえ、違うんです…これには訳があってだな…」


「尚更怪しいわ!通報…」


「すみません!私の…その…恋人です…雨で下着が透けて見えちゃって、隠してもらってただけです!」


マダムなので大丈夫だろうと、透けている下着を見せた。

それを見ると、マダムも納得してくれた。


「あら…本当に彼氏だったのね!ごめんなさい…私ったら勘違いしちゃって…もう、やだねぇ~。」


マダムは笑いながら謝罪を述べ、別のエレベーターに乗った。

二人は一安心。危機は去った。


8階にたどり着き、二人はエレベーターを降りた。

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