改暦セレモニー

夕日ゆうや

Gene Century《ジーンセンチュリー》

 2023年12月31日。

「ご覧ください。今、西暦という時代が終わり、新たな元号が誕生しようとしています」

 全てのカレンダーが新しい元号に置き換わろうとしている、その時。

 俺は紫煙をふかし、窓の外を見る。

 あと12時間で「Gene Centuryジーンセンチュリー」へと暦が変わろうとしている。

 そのことで、リムジンの周りには記者が集まってきている。

 鬱陶しい彼らを睨み付けると、俺は水を煽る。

 ここまで来た。

 ここまで来てしまった。

 各議員への根回し。

 神をも超えた人類の業が成せる技。

 神の世紀に別れを告げようとしている昨今。

 我々は新たなステージへと上がる。

 世界は変わろうとしている。

 一部の宗教者はこの俺の命を狙い、新たな元号に対して、怒りの声を上げている。

 もう神は死んだのだ。

 その事実を忘れてはいけない。

 今を作るのは人間なのだ。

 神頼みなど、言語道断。

 すべては人のため、人を守るために生きるのだ。

 やっと足並みがそろってきたのだ。

 このままで終わるわけにはいかない。


 歴史が変わろうとしている。


 Gene Centuryジーンセンチュリーまであと12時間。

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