第17話


入学当日の朝。


借りた部屋のインターホーンのチャイムが部屋に鳴り響いた。

 

配送で受け取った制服を着て玄関ドアを開けると、そこには僕と同じ制服を着た黒髪長髪の女の子がいた。


「あの…どなたですか?」

「私は魔実学校の2年A組、祷未来と言います。無常仮寝君であってますか?」

「はい。」


魔実学校…?あぁ、学校の略称ね。


「今日から入学との事で、同じクラスになる予定のクラス委員長である私が貴方の案内をする事になりました……その髪は地毛ですか?」


ありゃ、髪の毛って校則で縛られてる感じか?


「はい、こんな見た目だけど地毛です。」


祷は無常に向けて本当か?という目で見つめている。


「…わかりました。ウチの学校は名目上、髪を染めたりピアスをつけたりするのは大丈夫ですが、先生達の中にはあまり快く思わない先生もいます。それに、ウチの学校では自分の魔法を深く知り、研究する事が大事なのであまりそういったファッションはオススメできません。わかりましたか?」


…あんまり快く思われてないようだ、この子にも。


「わかったようですね?でしたら今から案内します。ついて来てください。」


「あのーカバンとかの荷物とかは…」

「…今日は始業式なのでカバンには筆箱とプリントを入れるファイルだけでいいです。」


前日に用意していたカバンを取りに戻る。


(…あの人はなんで僕の家を知っているのだろうか?)


そういう魔法を持っているからだろうか?

やはり日本で唯一の魔法の専門学校だ。レベルが違うと言えようか。


「荷物を持ちました。案内してください。」

「はい、こちらです…というか、これから入学する学校の場所すら知らないんですか?」


あ、この人めんどくさい人だ。


これから始まる学校生活がどこか憂鬱に感じてきた。

胸ポケットのガラケーの振動を感じながら。



そして、



「無常仮寝です。趣味は魔法でいろんな魔法について知っています。どうぞよろしくお願いします。」


パチパチパチと僕を歓迎する音が鳴り響いた。


学年集会が終わった後で、転校生の自己紹介で出る事になった。


つかみは順調。転校回数二桁の僕を舐めないで欲しいものだ。


「私の名前は三輪です。三輪先生と読んでください。それでは、御手洗君の横の席に座ってください。」

「わかりました。」


席に向かって歩いていく。

外から見たこの学校はどこか最新技術の集まったビルのような学校に見えたが、中身は普通の学校らしい。


「後の案内は祷に任せてます。なんでも聞いてくださいね?」


僕は、胸ポケットの再び感じた振動を感じながら席に座った。


「えっと、無常だっけ?よろしく!」


席に座ると、隣の男の子が声を掛けてきた。よし、早速友達ができそうだな。


「うん、えっとー御手洗君だっけ?こちらこそよろしくね?」


お互いに自己紹介をしていると三輪先生からの話が始まった。


「それでは、新学期の連絡を始めます。まず、今学年からは自分の魔法の研究活動が始まります。そのための書類を配るので後ろに回していってください。」


プリントが配われる。

内容は魔法を自由に使うための施設の紹介や、ケガや物を壊した時の保険金の加入の案内らしい。保護者に渡せとか言ってたけど、こういうのは大抵自分でハンコを押したりするしかない。

つか、保険って事は金かかんのか…

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