P.S.
P.S.
赤いチェックのとんがり頭が100年の夢を乗せて飛んでくる。軌跡が見える? あなたは星の上にいる。それはさながら、ボールプールに飛び込んで、ライムグリーンの飴玉を探すよりも難しいことだ。我々は触れている。触れ合っている。鉄は溶けだす。そのために永い眠りを経て、命は吹き出す。空の青は宇宙の黒を誤魔化しているだけ。海の青は、我々の緑を誤魔化しているだけ。「我々」とは、アイツらのことも含んでいる……。
ルートは用意されている。それに沿って我々は存在している。星が光る。動く。テレビから三原色が音も無く流れ出す。それは既に戻れない領域まで達した、ということ。我々は新たなパレットを手にしなければならない。大海を隔てて、今さら信ずる人々が増えてしまったのだから。次は、いや、既に、我々の番も来たのだ。
真っ赤な塗料で塗られた給油機がある。所々、乾く前に塗料が滴った跡がある。道半ばで固まった滴がその後地面に接する日は遂に来るのだろうか? ピッチドロップ実験の何億倍も時間がかかる。ひょっとしたら永遠かもしれない。今この瞬間も、滴は落下し続けているはずだ。近くでは別の液体がせっかちにもどこかへ流れ込んでゆく音を聴きながら。
向き合う顔が見える? 電気を消してみればいい。そこにじっとあなたの目を見つめる何かがいる。それはあなたと同じ次元に存在し、同時に別の次元にも存在している。しかしあるときは、存在すらしない。またあるときは、同時に存在と非存在。赤、黄、緑、オレンジ、パープル……全ての色を持つ。人間が視認可能な光の外にある色すら纏っている。それは無限の虹なのである。この世界にとってはあまりにもビビットで、彩豊かで、豪奢で、眩しくて、ゆえに下品だと思われている。しかし、それを恐れてはいけない。未知だからと言って拒絶してはいけない。虹はその数多の光の波長を持ってあなたに語り掛ける。虹はそのすべてを持ってあなたに語り掛ける。我々はその用意をしなくてはならない。それは定められたことなのだ。
それが、私なりの解釈なのだ。
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