第3話 美しいプロポーズ

 ◯チョベリグ・チョベリバ家

 ガングロ公爵

 

 趣味:クイズ 小話

 好きな物:ヨーグルト イカのムニエルホワイトソースがけ

 


 コンコンガチャ


 「入るわよアルシンド。一人目はどうだったかしら?」


 「うん……なんか、お金の話ばっかで……」


 「ふ〜ん。別にいいじゃない? ほら、良く言うじゃない、男は最高でも金、最低でもチンって」


 「いや、そっちのお金じゃなくて……あと、付いてればいいってもんじゃないかと……」


 「まあ、いいわ。それより、これから来るガングロ公爵から一足先にメッセージカードが届いているわよ。律儀で良い方だわ」


 「え?」


 「読むわね」


 ******


 私は先日、元ゲイのプロハスラーの方と久しぶりにビリヤードをしました。しかし、昔の実力は影を潜めていました。だから聞きました。


 「随分実力が落ちたな?」


 「あ〜あの頃は玉付きだったからな」


 ******


 「え?」


 ヒヒーン


 「来たわよ。早く応接室に行きなさい」


 「あ、はい」


 私は本陣に陣取っていましたが、背後の山からの伏兵の襲来により壊滅寸前状態になりながらも、応接室の鏡で最高の失笑を研究。


 ガチャ


 「はじめまして。アルシンド様」


 「ようこそお越し下さいました」


 「すみません。馬車馬がちょっと暴れてしまい10分程遅れてしまいました」


 「いえ、全然構いません」


 「普段は大人しい馬なんですが……アルシンド様は動物はお好きですか?」


 「あ、はい!」


 「私も動物が大好きで、昨日もライオンを飼っている夫婦の所に、お邪魔しに行きました」


 「え? ライオン?」


 「そして、そのライオンは凶暴で有名だったんです」


 「え? 大丈夫だったんですか?」


 「はい。全然大人しく、肉をあげても見向きもしなかったんです。だから、ご主人に聞いたんです。全然凶暴じゃないですねって」


 「はい」


 「そしたら、あ〜今朝奥さん食べたばかりだからなって」


 「はい?」


 「ちょっとした小話です。ハハハ!」


 「…………」


 お見合いにとてもふさわしい話題に驚愕した私は、当然話題を替える事にしました。


 「あの……ガングロ公爵はクイズがお好きと聞きましたが?」


 「はい。それでは、ご挨拶代わりに第一問」


 「あ、いや……」

 (しまった……)


 「ミカンが10個あります。これを9人で均等にわけるにはどうしたらいいですか?」


 「え? えっと……全部剝いて、バラして分ける?」


 「残念! 答えはジュースにすればいい!」


 「…………」


 「続いて第ニ問! 毛の生えた硬い棒を挿れて前後に動かすと、中は白い液体で満たされて、気持ち良くなってしまう行為はなんでしょう?」


 「え? ほ、本番?」


 「ブッブー! 歯磨き」


 「まだまだ行きますよ! 第三問! 主に夜中に一人でこっそりと見る、誰にも見せられないものとは?」


 「え? オ、オカズ?」


 「残念! 夢!」


 その後、知識教養のカケラもない、ありがたいクイズが99問続くと言う有意義な時間を過ごし、当然の様に私は全問不正解。


 「最後イキますよ! 好きな女性といると、すぐにたっちゃうものは何でしょうか?」


 「わかった! 竿!」


 「残念無念! 正解は時間でした」


 「…………」

 

 「これが言いたかったんです」


 「はい?」


 「好きな女性……すなわち、私はアルシンド様といると時間の経つのも忘れてしまいます。私との結婚を選らんで頂けたら、どんなに嬉しい事でしょう。もちろん貴方が仰った竿も、さぞかし喜びの起床を果たす事でしょう」


 「ガングロ様……」


 「では、明日の連絡を楽しみにしています」


 ガチャ


 (ちょっと待って? なんか、良い話みたいにまとめて帰ったけど、言ってる事は最低だよね?)


 ファジィ公爵の背後からの後頭部強打、ガングロ公爵の往復ビンタで私の精神疲労とイライラはMAX状態で、最後の殿方を迎える事になります。



 

 


 


 


 


 

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