第4話 一緒に冒険しましょうよ

動画配信部の部室は、音楽室の隣にあって、ずっとブラスバンド部の演奏が響いてきていた。


部長の伊千果いちかが、動画編集をしている横で、副部長の愛衣めいは、

「は~い、1年注目~次の動画の議題だよ~ここにね何かが住んでるらしいの」

と、タブレット上の画像を見せた。


見つめる1年の由貴人ゆきと絵馬えまは、まるでまだ小学生だ。

愛衣は、上級生になったのだと実感する。


「ここはバブル期に作られたリゾートで、今は廃墟になっていて、完全に廃墟と化していていて人は住んでいませ~ん。さらに陸の孤島と化していて、車で辿り着くのは困難です♪」


タブレット上に、ドローンで撮影したと思われる動画が流れはじめた。

由貴人と絵馬は、何が起こるのか興味津々に見ていた。


「ほら灯りが見えるでしょう」

「「うん」」

由貴人と絵馬は、同時に返事した。


可愛らしい。

これから地獄に叩き落とすのが心が痛む。


「1年生のみんなも行って見たいよね?」

愛衣の言葉に、由貴人と絵馬は、

「「え」」

と同時に驚いだ。


そして由貴人の方が

「まさかですが、行こうとしてるんですか?」


愛衣は満面の笑顔を湛えながら答えた。

「そうだよ、みんな一緒に行こうね」


由貴人と絵馬は「この人正気?」って顔をした後、

「車も通ってない、そんなとこ危険すぎます。拒否します」

「あたしも、由貴人くんに同意します」

「熊だって出るかも知らないし!」


通称鬼姫の愛衣は、

「と言う事は、2人とも行くことに決定だな」

「「なんでですか!」」

「動画なんて、ドッキリとかやってればいいじゃないですか!」

「もうドッキリ何て、当の昔にやり尽くしてネタ切れじゃ!

それに、ここ修羅中では、1年には決定権はないのだよ。

由貴人くんに絵馬ちゃん♪」


いつのまにか手に手錠を持った鬼姫の愛衣の顔が、キス寸前のところまで由貴人に近づいてきた。


絵馬以外の女子がここまで近づいた事がなかったので、由貴人はドキドキした。


さらに鬼姫は由貴人の股間を握ると

「ついてるんでしょ?一緒に冒険しましょうよ」


その様子を見た絵馬が「まっ」と照れた。



つづく

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