約束の地で愛誓う

椎名わたり

第1話 あの日もこれからも

「クリスマスライブお疲れ様〜」

「お疲れーっす」

「なあ、メイ大晦日暇?」

「暇だけど」

「じゃあ、皆で初詣行こうぜ!そんでSNSに上げて知名度も上げてこーぜ!」

「「「賛成〜」」」

「じゃ、27日にみんなメイん家集合な」

「おー」

「おっけー」

「了解〜♪」

「しっかし、今年も駄目だったかー。年末特番」

「あれは人気者の仕事だろ?俺らにはまだ早いよ」

そして和気藹々としながら時は過ぎ去って皆との恒例お泊まり会が今年も始まった。


クリスマスも過ぎ去り世間は正月モードの12月28日の早朝

俺は今年も桜との約束の地へ車で向かう。

桜の死から早10年。

23歳になった俺は、あれから毎年欠かさずクリスマス付近の12月28日に桜に会いに行っている。

本音を言えばクリスマスに会いに行きたいが、クリスマスはどうしてもライブで遠征している為会いに行けないのだ。

「桜、今年も来たよ」

し……んと静まり返った桜の木の下に膝を付き俺は指輪と一冊のノート(10年分のラブレター)を桜の木の下に置く。

「桜、俺アイドルになってから沢山の愛を受け取ったよ。でも、一番嬉しかったのは桜からの告白で桜からの愛だった。結婚しよう桜」

応えは返って来ない。

だが、桜の日記を見れば解る。

きっと桜は笑顔で俺のプロポーズを喜んでくれているだろうと…

顔を上げると強い風が吹く。

その風は冬なのにとても温かく感じて桜の仕業かなと感傷に浸っていると携帯が鳴った。


携帯を開くと仲間達からのメッセージだった。

"車無いけど今どこ??"

"ちょっと買い物行ってた。何か欲しいのある?"

"ビール!"

"つまみも欲しいなー"

"了解"

携帯を閉じ指輪とノートを回収しようと桜の木を見ると桜の幻影が見えた気がしたが一瞬で消え去った。


END

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約束の地で愛誓う 椎名わたり @Si_nawaTri1010315

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