30 桜 1




ヒナトリ達と長い船旅から帰って何年か経った頃だ。


既に家督は傍系の優秀な者に譲った。

隠居の身だ。

築ノ宮は80歳を超えた。


もう何も責任はない。

なので何年か前にずっと街を守って来たヒナトリと更紗と一緒に

長期の船旅に出たのだ。

彼らと長い間共に生活するのは初めてだったが、

思ったより楽しい旅行だった。


そして今彼は一人で森に来ている。

あの聖域だ。

森に入りしばらく歩き続けて少しばかり疲れて来た。

座るのにちょうど良さそうな倒木を見つけると腰を下ろした。


彼は水筒を出すとそれを飲み、おやつを出した。

目的地は一時間ほど歩けば着く。

ここは聖域だ。

普通の人は入って来てもしばらくすると元の所に戻ってしまう。

だからこの辺りではキツネに化かされたなどの話がある。

人に対して結界が張ってあるのだ。


だが築ノ宮はここの主とも言える。

森は無条件に彼を受け入れて目的地まで迷う事はない。


パリパリと良い音を立てておやつを食べていると、

細い獣道を挟んで小さなものがこちらを見ているのに気が付いた。


小さな狐の子だ。

大きな頭で手足の先が黒かった。

円らな黒々とした瞳がこちらを興味深げに見ている。

築ノ宮はにっこりと笑うと手招きをした。


「おいで、お前はキツネの子かい?」


子狐は少し恥ずかしそうに俯いたが、

おずおずと近寄って来た。


「おじいちゃん、どうしてここにいるの?」


子狐は可愛い声で聞いて来た。


「会いたい人がいてね。だから来たんだよ。」


築ノ宮がリュックを探った。

出て来たのはドライフルーツだ。


「ほら、リンゴのドライフルーツだ。

自然のままのものだから君も食べられるよ。」


狐の子は不思議そうにそれを受け取り食べた。

すると驚いた顔になり、耳がピンと立った。


「すっごく、おいしい!」


築ノ宮が笑うと欠片をもう一つ渡した。


「とりあえずこれだけだよ。」


だがその時、黄色い光がさっと子狐のそばに走った。

築ノ宮がはっとすると、

そこに平伏した狐がいた。


「我が子が大変申し訳ありませんでした。

平に、平にご容赦を!」


子狐がぽかんとしていると親狐が子どもの頭を押さえた。


「お前も謝りなさい!この方はね!この方は!」


築ノ宮がくすくすと笑い出した。


「いやいや、何もしませんよ。

この子と喋っていただけだから。顔を上げて下さい。」

「……、でも築ノ宮様ですよね。」


狐がちらりと彼を見た。


「この子のお母さんかな?」

「……はい、大人しくしていられない子で。」

「そうですか。子育ては人も獣も大変ですね。」


と築ノ宮が言うとにっこりと笑った。

狐は不思議そうな顔をする。


「あの、物の怪を退治なさる築ノ宮様、ですよね?」

「まあ、そうでしたが今では隠居しまして。

もうやりません。

それにあなたは悪さをする物の怪ではないでしょう?」


狐が大きくため息をついた。


「大変失礼しました。」


狐の子は不思議そうに二人を見た。


「良ければあなたもいかがですか。」


と築ノ宮がリンゴを差し出した。


「よろしいのですか?」

「はい。でもその代わり道案内をお願いします。

桜の樹まで行きたいのです。」


狐の子がにっこりと笑った。


「ぼく、知ってるよ。今花が咲き出したんだ。」

「そうなのか。」

「すごいきれいだよ。」


築ノ宮が立ち上がった。

狐の親子も歩き出す。


彼が歩く先を狐が見えたり隠れたりしながら走っている。

春先の薄い緑に輝く金色が美しかった。

森の中では鳥が鳴いている。


気が付くと色々な獣や鳥が彼の後をついて来ていた。


みなは小さな声でおしゃべりでもするように鳴いている。

まるで自然の演奏会のようだ。


築ノ宮がその音を聞く。

その中に獣や鳥に交じって物の怪達もいるようだ。

前は近寄りもしなかった物の怪が自分の後をついて来る。

そしてその声は優しく柔らかい。

心地良い音が彼を歓迎していた。


やがて平原に着いた。

その真中に大きな桜の樹があった。


どれほどの樹齢だろう。

枝を広げて幹の太い堂々とした樹だ。

沢山の蕾がありいくつかは咲いている。

三分咲きと言った所だろうか。


「みんなありがとう。」


と築ノ宮が言うとついて来たもの達はふわりと消えた。

そして子狐だけがそばにいた。


「おじいちゃん、帰りはぼくが送るからね。」


親から言われたのだろう。

少し離れた所で親狐が頭を下げた。


「そうか、少し時間がかかるかもしれないけど、

帰る時は呼ぶからね。遊んでおいで。」


築ノ宮が言うと子狐は頷き親の所に走って行った。

彼は桜の樹のそばに寄りその幹に触れた。


「父上。」


彼は呟いた。

築ノ宮は手のひらで樹を探った。


この樹は聖域の守り神のようなものだ。

平原の真中にぽつんと生えている。

だがここを人が空から見てもただの森にしか見えないだろう。

そしてこの場所には人は入れない。


若い築ノ宮が聖域を作ると言った時に、

そこを守るために人身御供になると言ったのは

彼の父、博倫だった。

博倫は桜の樹と同化しここに根を張った。


その後叔父の橈米はここに送られたが、

もう既にその命は尽きていた。

気配は全く残っていない。


彼はここに来ることを激しく拒否をしたが、

大獏主と契約をしたのだ。

桜の樹の中でしか悪夢を見るのを遮る事は出来ない。

樹の中は別次元だからだ。

現世ではその悪夢は死ぬまで続き、終わりはない。


橈米がここに連れられた時に

付き添った者がその様子を築ノ宮に報告をした。


「聖域のそばに行くと背が3メートルほどでしょうか、

大きな物の怪の方が4人出て来られました。

私が頭を下げると彼らも頭を下げました。

そして橈米様を4人で担ぎ上げて森に入られました。

何か祈りのような唄を朗唱されていました。意味は分かりません。

橈米様は恐れで何も言葉はありませんでした。」


報告はそれだけだ。

聖域に入った後はどうなったかは全く分からない。


まだ築ノ宮が若い時に波留を連れてここに来た時は

博倫の人としての記憶はあったが、

今はほとんど消えているようだ。

だが聖域を守る心はいまだに強く感じられた。


築ノ宮が子どもの頃は博倫に反発する気持ちしかなかった。

物の怪を徹底的に退治する橈米と博倫を比較していた。

出来れば物の怪は消すことなく、

まず話し合う事を信条としていた博倫が生ぬるく思えたのだ。


そして3年の修行の後、築ノ宮は博倫の考えを理解した。

それを知った博倫は自らこの地に根付くことを選んだのだ。


「後は頼むぞ。」


そう言って出かけた父に築ノ宮は強く頷いた。


そして時間が経った今、それは果たせたと築ノ宮は思った。

自分が後を託した傍系の男を思い出す。

築ノ宮はその彼にも言ったのだ。

後を頼むと。

それは延々と続くのだ。


そして彼は桜の根元に腰を下ろした。


周りを見渡す。

心地の良い風が頬を撫でた。

空は青く白い雲が浮いている。

冬が過ぎ春が来ている。


彼はかつてここに来た時の事を思い出す。

波留と並んでここに座り景色を見た。

見上げると彼女の髪の色に似た桜が所々に咲いている。


桜の木は歳を取ると花は白っぽくなると聞いていた。

だがこの木の花は美しい桜色だ。

花弁は透明感のある桜色で青空を映しているのか、

花びらが光っているように見える。

膨らんだ蕾も桜色で生まれたばかりの赤子の手のように

軽く握られた優しい形をしていた。


「波留に見せたいなあ。」


彼は呟く。


かつて悪意ある物の怪に消されてしまった物の怪達は、

大獏主が夢の種として食べてしまっていた。


「悪食め。」


と万年青は憤慨していた。

その頃大獏主は万年青の怒り様に恐れをなして

姿を消していた。

彼女がどれだけ探しても見つからなかったのだ。


「あのたわけはそのうち胸焼けを起して

あたしに泣きついてくるはずだ。

その時に内臓が全部出るぐらいの

薬草を喰わせてやる。それまで待ってろ。」


そう万年青が言ってから何十年経っただろうか。


いつの間には万年青は姿を見せなくなった。

そして近しくしていた素鼠老や白川もいなくなってしまった。


彼らは死んだわけではない。

どこかにいるはずだ。

もしかするとこの聖域にいるかもしれない。

でも今はその気配はない。


万年青がいまだに何も行動を起こしていないのは

約束を破った訳ではないのは築ノ宮には分かっていた。


何しろ彼らは神性のものだ。

時間の感覚は人とは違う。

人には何十年でも彼女らにはまだ少しかもしれない。


それに万年青には何か事情があった気がしていた。

万年青が消えた頃に素鼠老や白川も姿を消したからだ。

だがそれでも万年青が約束していた時が

もうすぐ来る予感があった。


だから今ここに来たのだ。


近場のロッジには長期宿泊をするよう話をした。

そして毎日樹まで来るつもりだった。


勘は当たらないかもしれない。

それでも桜のそばに来たかった。


「どれ、そろそろ帰りますか。」


築ノ宮が腰を上げた。

狐の子がそれに気が付き近くに走って来た。


「おじいちゃん、帰るの?」

「ああ、道案内を頼むよ。」

「それで明日も来る?」

「そうだなあ、天気が良かったらね。」

「明日は良いはずだよ。

明日の明日の明日は雨かなあ。」

「しあさってかな?」

「分かんない。お母ちゃんがさっき言ってた。」


二人は歩きながら話していた。

築ノ宮がちらりと後ろを見ると遠い所に母狐の姿が見えた。


「そうか、雨の日はやめておこう。

明日も行くけど雨が降ったらその次の日から桜を見に行くよ。

道案内をお願いしたいな。」

「うん。良いよ!」


子狐は元気に返事をした。


「それでさっきあげたリンゴは美味しかったかな?」


子狐の目が輝いた。


「すっごいおいしかった。

ぼくあんなの食べたことないよ。」


築ノ宮は笑った。


「あれはリンゴを乾かしてあるんだよ。

味が濃いだろ?」

「うん、山にもリンゴはあるけど渋くて酸っぱい。」


子狐が顔をしかめる。


「なら明日からリンゴとか持ってくるから、

それが道案内代で良いかな?」

「ホント?」


子狐は嬉しそうに跳ねだした。


そろそろロッジが近い。建物の屋根が見えて来た。


「君のお母さんも好きだろ?

お母さんの分も持って来るよ。」

「ありがとう、おじいちゃん!」

「もうロッジが見えて来たから大丈夫だよ。

お帰り。」


子狐が跳ねながら母親の元へと走った。

母狐が築ノ宮に頭を下げた。

築ノ宮も丁寧に頭を下げた。


ロッジに近づくと管理人の麻生が心配そうな顔をして立っていた。

40代ぐらいの男性だ。


「築ノ宮様、ご心配しました。」


麻生はほっとした顔で言った。


「大丈夫ですよ、朝も言ったでしょう。」

「そうですけど、この森は普通の森ではありませんから……。」

「そうですよ。あなたも三五の術師でしょ?

色々分かっていらっしゃるはずですよ。」


と築ノ宮が優しく微笑んだ。

麻生は思わず口ごもる。


このロッジは三五商社で管理している場所だ。

普通の人は近寄れない所にある。

現代機器もほとんどなく、電気もガスも通っていない。

そしてそこを管理しているのは術師でこの麻生も凄腕だ。

何しろ絶対に壊されてはいけない場所だからだ。

このような場所はいくつかあり、聖域を守っている。

その一つに築ノ宮は泊まるのだ。


「それでお願いがあるのですが。」


彼は麻生を見た。


「今日頂いたリンゴですが大変美味しかった。

しばらく毎日持って森に入ります。

それとしあさってに雨が降りますが、

その後森に入るので宴会の準備をお願いします。」

「え、宴会ですか?」


麻生が目を白黒させる。


「宴会です。純米酒の一升瓶を10本ほどお願いします。

それと野菜ですね。大根とか白菜とか

新鮮で今手に入るもので結構です。

バナナやリンゴみたいな果物も大量にお願いします。」

「神饌のようなものですか?」

「そうですね、そんな感じで結構です。」

「なら儀式を行うのですか?それならば私もお供します。」

「いえ、宴会です。」

「宴会……、」


訳が分からないという様子で管理人が首をひねった。

それを見て築ノ宮が笑う。


「それを運ぶものもお願いします。

キャリーカートみたいなものが良いかな。」

「はい、それもご用意出来ると思いますが……。」

「お願いします。

それでそろそろ夕飯の準備ですね。私も手伝います。」

「いえ、滅相もない。」

「良いんですよ、一緒に作りましょう。

私は料理が上手いんですよ。ずっと独身だったから。」




それから毎日築ノ宮は聖域に入って行った。

そしてご機嫌で帰って来る。

それは悪い事ではない。

だが麻生はどことなく不安を感じていた。


そして築ノ宮が言った通り

何日かすると雨が降った。暖かい雨だ。


その日は築ノ宮は聖域に行かず一日ロッジにいた。

暖炉に薪をくべてそれを見ている。

麻生と二人で作った夕食も済み、

築ノ宮は飽きずに暖炉の火を見ていた。


「築ノ宮様、よろしければ何かおつくりしましょうか。」


麻生がワゴンに何種類かの酒とつまみを乗せてやって来た。


「ああ、嬉しいね。

なかなかすごい酒があるじゃないか。」


彼はふふと笑う。


「ここでは楽しみはそんなにありませんからね。

夜にちびちびと飲むのはなかなか良いですよ。」

「じゃあ君のおすすめを頂こうかな。」

「ではスコッチを。」


と麻生がスコッチを手にした。

深い透明なブラウンがグラスに注がれる。

暖炉の赤い光がその色をますます濃く輝かせた。

築ノ宮はしばらくその色を見て香りを嗅ぎ一口飲んだ。


「ああ、なかなか染みるなあ。」

「いいでしょ?」

「ああ、良いですね。この色が体に満ちるようだ。」


しばらく二人は火を見ながら静かに飲んでいた。

薪がぱちりと音を立てる。

麻生が薪を一本そっと入れた。


「築ノ宮様、一つお聞きしていいでしょうか。」

「ああ、構いませんよ。」

「その、聖域には何がありますか?」


築ノ宮は少し驚いた。


「麻生君は中に入った事はないのですか?」

「ええ、試した事はあるのですがいつも戻ってしまって。」

「まあ人は入れないからね。」

「築ノ宮様は特別ですが

それでも入って行かれたので驚きました。」


築ノ宮がふっと笑う。


「入ったと言っても獣道があってずっとまっすぐ行くだけですよ。

多分そこから別の所には行けないと思います。

道の先には広い草原があって桜の樹が一本あります。」

「桜ですか。」

「かなり大きなものです。

あの辺りは空から見てもただの森にしか見えません。」

「そうなんですか……。」


麻生が少し考えこんだ。


「君は何年ここの管理をしているんですか?」


築ノ宮が聞いた。


「15年ぐらいですね。」

「ほとんど一人ですよね?淋しくないですか?」


麻生がふふと笑う。


「まあ全然淋しくないと言えば嘘ですが慣れました。

それに時々築ノ宮様のようにいらっしゃる方もいますから。

でも元々一人でいるのは嫌じゃないんですよ。」


術師の中にはそのような者は結構いる。

子どもの頃から不思議を見るのだ。

そのような人は疎まれる事が多い。

一人の方が楽だと思ってしまうのだ。


「でもお山から動物が時々降りて来たり、

稀に物の怪の子どもが来たりしますよ。」

「怖がっていないかい?」

「そりゃ、僕は祓う側ですから遊びに来る感じではないですけど、

築ノ宮様に代替わりしてからここで祓った事はないようです。

前の管理人も言っていました。

聖域の管理だけだから気が楽になったって。

僕も祓った事はありません。」

「そうだね、何でもかんでも物の怪だからって

祓うのは良くない。麻生君もそう思いますか?」

「思いますよ。」


築ノ宮が満足そうに笑った。


「私は子どもの頃お山にいた時に物の怪を触ったんですよ。

小さかったな。」

「子どもの物の怪は結構可愛いですよね。」

「ああ、カワイイ。

でもやはり小さな物の怪は

ずっと私のそばにはなかなか来てくれなかった……。」


築ノ宮は残りのスコッチをぐっと飲んだ。


「麻生君、とても美味しかったです。ごちそうさま。」

「もう少しいかがですか?」

「いや、これぐらいにしておきますよ。」


築ノ宮がグラスを置いた。


「それで、君にお願いがあるのですが。」

「はい、なんでしょう。」


築ノ宮が入り口近くに置いてあるキャリーカートを見た。

そこには日本酒と野菜と果物が積んである。


「明日私はあれを持って聖域に入ります。

もしかすると帰って来ないかもしれない。」


麻生がはっとする。


「つ、築ノ宮様!」


麻生が声を上げた。


「いけません、それは駄目です。私もお供します。」


麻生は築ノ宮が聖域に入るたびに不安を感じていた。

そしてそれは予感でなく事実だったのだ。

聖域で築ノ宮は何かをしようとしている。


だが築ノ宮は穏やかな顔で彼を見て首を振った。


「良いんですよ。

多分明日は私にとっては晴れの日になります。

祝って欲しい。」


麻生は言葉もなく築ノ宮を見た。

しばらくして俯くと涙が下に落ちた。

焚火でそれは光った。


「晴れって、……そんな事をおっしゃらずに。」


呟くように麻生が言った。


「君の気持ちは本当に嬉しい。

だが明日は私がずっと待っていた日になるはずです。

何かが始まるのです。

だから少ししかないが荷物を本部に送ってくれますか。

そしてここに来てからの私の様子と結果も知らせて欲しい。」

「……はい。」


諦めたように麻生が腕で顔をこすりながら言った。


「まあ私の勘違いで戻ってくるかもしれませんが、

その時は笑って下さい。」


麻生が鼻をすする。


「そうなるよう祈ってますよ。」






そして夜が更け朝が来た。


麻生がいつも通りに起きると入り口に置いてあったカートが消えていた。

慌てて窓から外を覗くと、

カートを引く築ノ宮と

その周りを楽しそうに飛び跳ねている子狐がいた。


そして聖域に入ると二人の姿がふうと消えた。


「物の怪の子があんなに嬉しそうに……。」


麻生は手を組みまじないをその姿に向かって唱えた。

それは祝福を紡ぐことほぎ

よろこびを祝い、末永く命が続くように。


それがどうして口から出て来たのかは麻生には分からなかった。

だが築ノ宮の後ろ姿は力強かった。

聖域で彼は何かを終わらせるのではないのだ。

昨夜彼が言った通りに何かが始まるのだ。


麻生は心から祈る。

築ノ宮の未来を。







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