第10話 【モトジロー】と二人の探偵

「ムヒョヒョッ……ムヒョーーー!!!」

【モトジロー】は絶頂せんばかりに喜んでいた。

血まみれの人間どもが運ばれてくる様子をニヤニヤしながら群衆に混じってそれを見る【モトジロー】なのであった。

眼鏡をかけたおっさんが指示を出している。

「早く、中の人たちを助け出せ!」

するとナイフを振りまして騒いでいた連中が大急ぎで中に入っていくのであった。

(無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄……みんな死んでしまえばいい)と思いながらそれをニヤけながら見ている【モトジロー】なのであった。

彼のスキル【檸檬】が発動した為であった。

彼はこの【檸檬】爆弾で周りを吹き飛ばす事が出来るというスキルを持っているのであった。

彼はこのスキルを見抜かれて犯罪者集団【黒猫】の一員となったのであった。

彼が何故このような事をするのか謎だ……だが、この容姿のコンプレックスがあったのではないかと思わせる。

(みんなみんなみんなみんな死んでしまえばいい……)

と心の中で呟き立ち去ろうとした【モトジロー】なのであったが……

その時であった。

ガシッと肩を掴んだ男がいたのであった。

そして、建物の陰に連行されたのであった。

「なっ……なにを!!!」

叫んだ彼の顔面に鉄拳が叩き込まれる。

「放火魔は必ず事件現場に戻るとは言ったものだねぇ……」

とシガレットに火を付けながら男が言ったのであった。

顔に3つのVがあった。まず顔の形がV そして尖った鼻がVそして、豊かにフサッとした金髪の毛が額にかけてVを描いている金髪の悪魔と言った様子の伊達男だ。そして、側には鳶色に灰色が混じった髪の毛の背の長い男がいた。目の色も鳶色であった。

この2人の男はダシール・ハメット=【すぺーど】とレイモンド・チャンドラー=【まーろう】であった。

「なっ……なんの証拠があって……」

「あくまでも、状況証拠しかないがな……」

と言って【まーろう】が写真を何枚も取り出す。

それにはどれも彼が起こした爆破事件に写る【モトジロー】の姿があったのであった。どれも薄気味の悪いニヤケ面をしている。

「お前がこの一連の爆破事件を引き起こしたことは分かっているんだ! さぁ吐け! この事件には【黒猫】が関わっているんだろう……」

【すぺーど】が叫ぶ。

「あわわわわ……」

この日本文学の文豪は腰を抜かすのであった。

(なんで……ここまで知っているのだ……)

考えが思い付かなかった。

「とりあえず、こいつをポリに付き出すか?」

【まーろう】が聞く。





「全く、見ていられないぜ!」

と声が聞こえた。

「ゲッタウェイ!!!」

叫ぶ声が聞こえたと思ったら、そこに【モトジロー】の姿はなかった。

「しまった……」

2人が呟いた時に【モトジロー】の姿がなかった。

突然スッと消えてしまったのであった。

「ちっ!スキル使いにしてやられたか……」

「せっかく捕まえたと思ったのに……」

と肩を落とす【まーろう】なのだ。

彼はこの犯罪組織に対抗する手段を持たぬ世界連合に背を向ける形で辞めていったのであった。

「まぁ必ず奴らの尻尾を押さえてやろうぜ」

と励ます【すぺーど】

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【ダザイ】クエスト 傾三十牢 @keisanjuro36

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