第2話 トランプ元大統領と男女の機会・結果平等

 男女の権利の問題で、機会平等と結果平等という考えをどのスタンスを取るかは考えておくべきだと思います。

 定義ですが、私は男女差別問題での機会平等は性別を理由にしてどちらかの性が優遇・排除されることが無い事、結果平等はプロセスは関係なく結果的に男女が同じ待遇を受けること、だと思います。


 人間の能力や環境や運に個人差がある以上、個人間では結果が同じになることはあり得ません。それを調整するのが法律などの規定、税金や社会福祉などの社会の仕組みですが、性別はもちろん憲法で定められている門地や宗教、思想、人種などで平等を結果平等で突き詰めれば個人差を認めない共産主義になります。


 機会平等をつきつめれば、配分はすべて個人の責任に帰結し、弱肉強食の世界、つまり原理主義的なリバタリアニズムになります。これはほぼ原始的な資本主義で究極の自由競争であり、軍隊と郵便以外は国家は関与すべきでない、みたいな話になってくると思います。小さな政府ですね。個人の生活を犯罪から守るのも年金制度も自治組織になります。


 ですが、実は強者が弱者を搾取する社会というのは停滞・衰退します。それは安心できる社会でないと「取引」が成立しないし、弱者の数が減り消費が減って行くからです。


 グローバリゼーションの究極はこの状態であり、今世界では共産主義的な平等主義は衰退し、こちらのリバタリアニズム、弱肉強食の方向に行きつつあります。結果として強者と弱者で極端な貧富差が生まれ分断が生じています。また結果的に個人主義的になるので少子化につながります。

 先進国で起きている貧富の差による分断は機会平等が極端に進行し一部の富裕層が弱肉強食を享受しているからです。これが世界的な停滞感の原因です。金融指標もGDPも成長しますが貧困層が増加します。

 トランプ元大統領がなぜ支持されるかといえば、この分断のせいで極端な自分ファーストになっているためです。


 富裕層とはすなわち既得権益者です。グローバリゼーションを推進し搾取している人たちです。それはマスコミなども含めて、です。ですからトランプ元大統領を叩くのは富裕層で、支持者はその搾取される側になっています。人種差別的な主義主張も自分主義的個人主義の結果でしょう。


 機会平等と結果平等を考えるとは、つまりリバタリアニズム、リベラリズム、保守、あるいは共産主義まで含めた政治思想の問題になる…と思うのですが、が男女平等はそうならないのがややこしいところです。

 つまり、男女不平等の議論はトランプ元大統領をめぐる問題と一緒です。自分の属する集団が1番優遇されてほしい。理論のないアメリカファースト、女性ファースト(逆もありますがどうもこちらが多い気がします)、自分ファーストです。


 ですので、どうしても1つの指標に視点が行きがちになります。平均給与が男女で違うのがおかしい、大学の男女比率がおかしい、企業や国会議員の男女差がおかしいという議論になってきます。男子校があるのがおかしいという議論ももちろんそうですね。


 個人の資産に差があるのはOK,5教科の成績だけでいい大学にいっていい企業に就職するのはOK、能力や才能がある人が出世するのは当たり前という前提は崩れないんですよね。

 富裕層である女性が貧困層である女性、家政婦、保育士、介護職、小売業や飲食業従事者などから搾取するのは気にならないみたいです。もしかしたらそこが男女の平均給与差なのでは?要するに自分が良ければいい、ですね。


 男女不平等・差別を測定するには、それが社会制度の問題であれば、結果を比較しても意味はありません。どんな政治思想に基づき、どんな社会を実現したいのかによってスタンスは変わります。それにジェンダー指数の様な結果を比較する指数では、機会平等が実現しているかは測れないハズです。


 アメリカで黒人やヒスパニックに大学の入試の際に加点する「アファーマティブ・アクション」は最高裁で違憲判決を受けたようです。「アファーマティブ・アクション」は言い換えれば、過去の差別が今の結果に影響しているからそこを補正する為の措置として実施するということです。もちろん男女の差にも適応できる考え方です。  

 バイデンがなぜLGBTQを推進するかトランプは反対するか、中絶に関する法律などの問題、民主党と共和党の違いもこの辺から入ると分かりやすいと思います。


 政治思想を固めないで男女の機会平等、結果平等を論じるのはいただけません。この際選挙の政党選びにも活用できますので、どういうバランスがいいのか考えたらいいのでは?


 






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