33
風呂から上がり、真也がリビングに戻ると、そこに友香の姿はなく、自室のドアを開ける。
先ほど、ビンタをされた際、一様正座をさせられデリカシーとは何ぞやを説教される始末になったのだが、その時にせっせと洋服を片付けた後、真也が布団を敷いたはずだった。
だが、部屋を開ければ、その布団が跡形もなく片付けられており、ベットには友香がすでに布団をかぶって就寝していた。
かに見えたが、真也が入ってきたのに気が付いた友香が、顔を布団で半分書くし、目だけで真也のほうを見つめながら口を開いた。
「先輩には、今日はバツがあります」
「あ、はい。さっきの件ですね」
自然と、ベットまで近寄ると、友香の目の前に正座をした。
しかし彼女は顔を半分、鼻から上を出したまま、ジーと真也を見つめ。
「さっき私の下着とか、触りましたよね」
「はい・・・」
「邪な気持ちはなかった?」
「そのとうりです」
「でも、デリカシーにかけますよね」
「返す言葉もございません」
「罰が必要だと思いませんか?」
「な、何なりと」
淡々と語る口調が少し怖く、真也は彼女が欲しているであろう言葉を並べてなんとか機嫌を直してもらおうと動力する。
「一緒に・・・・このベットで寝てください」
すごく弱々しい声が何かをつぶやき、真也は聞き取れず、小首をかしげる。
今なんと言った。いやまて俺、ここで選択肢をミスり、聞き間違えなどしようものなら変態の烙印を押されかねない。慎重にだ、慎重に。
今の言葉が聞き間違いの可能性があることを考慮し、真也は慎重にすまん、もう一回頼むと友香にお願いをしてみた。
彼女も、流石に今のでは聞こえなかったのは重々承知はしているが、それでも再度同じ言葉を言うのには非常に勇気が必要で、約1分ほどだろうか、沈黙が流れたあと、意を決したように再度口が動いた。
「私と一緒のベットで、寝てください」
今度は真也の耳にもはっきりと聞こえ、硬直した。
「な、何を言ってるんだ? 意味わかってるか?」
「な、何を勘違いしてるんですか。変な事したら怒りますよ。寝るだけです。正確には私のだ・・・」
だ、で一度言葉が切れ、友香は深呼吸をし、意を決したように言った。
「抱き枕になってください。さ、ささ、さっきの罰です」
友香の顔も耳も真っ赤で、非常に恥ずかしそうにしているのが可愛らしく、言われている真也のほうが恥ずかしくなってしまうほどで、真也の顔も自然と紅色に染まる。
「えっとぉ、本気」
聞き返さないでほしいという目で、睨み返され言葉を失う。
少し悩んだ後、俺の精神と理性よ、無事に朝を迎えてくれよと祈りながら、部屋を一度出て、玄関の戸締りなどを終え、再度自室に戻り、深呼吸する。
その勢いのまま、ゆっくりド自分のスペースであろう場所が空いていたので、そこに体を滑り込ませる。
友香が布団に長くはいっていたせいか、すごく柔らかい温もりが全身を包み、真也は居たたまれない気持ちになりつつも、やべぇ、あったけぇと口走りそうになるのを必死に抑えながら、その温もりを堪能していた。
すると、ギュッと、今朝と同じように、友香が真也の胸元の服を握ってくる。
抱きつく勇気が無いのか、それが精いっぱいという様に、微妙に小刻みに震えながら、必死にしがみついているのが非常に可愛くて、つい自分の視線が彼女のサラサラの後頭部にある事に気が付き、真也は彼女の頭を抱きしめる様に、優しく包み込みながら頭を撫でた。
最初こそびくりと震え、ていたが、やがて落ち着いてきたのか、それとも撫でられることになれたのか、その震えはいつの間にか収まっていた。
「の、覗かないでください」
真也が、そんな彼女の顔を見たいという至極まっとうな欲望に逆らえず、布団の中の彼女の様子を見ようとしたら、静止するよう求められてしまった。
「頭、撫でててください」
「良いのか?」
「嫌じゃないので。撫でててください」
甘え方が下手だなぁ、などと思いつつ、真也は言われるがままに、その体制のまま友香の頭を撫で続けたのだった。
ゆっくりと、時は流れ、甘いような、切ないような、そんな雰囲気に包まれながら、気が付くと、2人とも、夢の中へと静かに旅立っていったのだった。
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