第26話 世界ヒーロー抹殺計画

 史上最速でS級に到達した我々「どすこいカルロス」は冒険者達の間で伝説となり、その名を知らない者はモグリ、或いは100年間ボッチという100年に1人の逸材のモグリ……と言われるほど有名なパーティーとなった。

 そのためかリキとシコナには元パーティーメンバーから連絡があったらしいが、内容はくだらない負け惜しみだったので「ありがとう。あなた達のおかげで最高のパーティーメンバーに巡り会えた」という旨の嫌味で一蹴し、更にそのあと抱けない抱き枕をプレゼントしてやったらしい。


 なのでとりあえずリキとシコナの復讐は一旦はけりが付いたと言って良く、我々は地球征服のために次なる行動を開始した。


 ――それが世界ヒーロー抹殺計画である。


 これは以前。都に話したヒーロー大国であるアメリカとヒーロー超大国の日本だけを残して、それ以外の世界各国のヒーロー達を秘密裏に始末していくという計画だ。

 正直アメリカと日本を避けている時点でそこまで苦労する相手は居ないと予想していたが、要所要所で手こずる敵も居た。


 例えばドイツ。ドイツで戦った強敵は親父に殴られた事のない少年がパイロットの巨大ロボットと戦った。

 次にギリシャ。ギリシャでは親父にしか殴られた事のない少年がパイロットの巨大ロボと戦った。

 更にはロシア。ロシアでは親父だけは殴った事がない少年がパイロットの巨大ロボと戦った。

 そして更にブラジル。ブラジルでは親父だけしか殴った事がない少年がパイロットの巨大ロボと戦った。

 更に次はモロッコ。モロッコでは親父だけが見知らぬ人に殴られている少年がパイロットの巨大ロボと戦った。

 そして最後はインド。インドでは目玉だけの親父……が親父の少年がパイロットの巨大ロボと戦った。


 とまあ、数々の強敵を撃破した私達はいよいよアメリカ、日本攻略に乗り出す事となるが――まずはアメリカから。

 他の国は殆ど日帰り感覚で済んだがアメリカはヒーロー大国。そして面積の大きい国のため、我々は腰を据えての本格的な攻略のため一時的にアメリカ本土に拠点を置き、しばらくの間はコーラとポップコーンだけでアメリカに不法滞在する事となった。


 ――そして前評判通りアメリカは中々の難敵揃いだった。


 特に後半は侵略に少し時間をかけてしまったせいか、こちらの存在がアメリカのヒーロー達にバレてしまい徒党を組まれ更に苦戦する事となった。

 ――そう。そしてこの徒党を組んだ奴等こそが都の言っていたアベンジャーズ。……ではなく日本のヒーローに妙なアレンジが加わったスーパーヒーロー集団のアレンジャーズだった。

 まあ、アメリカに限った話ではないが……というより日本もだが、外国のテレビ番組やドラマなどはその国に合わせて妙なアレンジが加わる事が多々ある。そしてそんなアレンジが加わった奴等の集まりがアレンジャーズで、実際にこいつらがどんな奴等だったのかを少し詳しく説明すると――


 まずはウルトラマンをアメリカ風にアレンジした「ウルトラのUSA」。こいつは全身がアメリカ国旗のカラーリングになっていて、事ある毎に「U・S・A!! U・S・A!!」を連呼してアメリカ国民を焚き付け、鼓舞する厄介な奴だった。

 次に果麺ライダー龍騎をアレンジした「果麺ライダーDRAGON BUSHI」。こいつは変身する前は腕にアメリカの国旗のタトゥーが入ったサムライで、変身した後のソードベントによる超必殺技「切腹」が滅茶苦茶な威力で考えなしに放つとアメリカの州が1つは消し飛ぶ程の威力だった。つまり簡単な言い方をすれば切腹するだけでアメリカの州を1つ消し飛ばせる程の正義のヒーローだったという訳だ。

 更に次はスーパー戦隊シリーズのアレンジで「筋肉戦隊パワーレンジャー」。もうこいつらは名前からしてわかるように鍵の掛かった扉を体当たりでこじ開ける――。想像通りの典型的なアメリカ人5人組の戦隊だった。ただこいつらが想像と少し違ったのは鍵の掛かっていない扉も体当たりでこじ開ければ、自動ドアも体当たりでブチ破る、更には人の心の扉も体当たりでこじ開ける程の脳筋戦隊だった事だ。

 そして最後はポムポムプリンのアレンジで「ムキムキまんじゅう」。何故アメリカの分際で和菓子を選択したのかが謎過ぎれば、ヒーローじゃなくゆるキャラを選択した理由も謎である。なのでこいつは明らかにゆるキャラではなくかたキャラで、ソードベントによる通常技「弱キック」1発でアメリカが消し飛ぶ程の威力だった。


 とまあアメリカ攻略の後半になってからこんな奴等が登場したが、多少苦戦はしたもののまだまだ我々の敵ではなかった。なのでアメリカを無事攻略した我々は本命である日本を攻略するために帰国……堂々の凱旋であった。

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