短編「人生ノ選択」(完)

不可世

一話完結

どうにも浮かない空を

見ていた

遥か宇宙へと続く

空の扉

それは綺麗で

ただ壮大で

掴めないほど遠い

だけど変わらず

そこにあり続けていて


いつだって陽は差し

夜には星が迎えてくれる


この世界で

この宇宙で

この銀河で


僕らは未来をなだめ

今を統べる

そして過去に

思いを置き

やがて眠る


このすれ違う

時空と記憶と命のさざめき

一会に返すわけではなく

幾重にも縁を深め

馴染む世界の鼓動


そして帰る場所を持ち

日々を淘汰し息づく

人生という物語


もう人は孤独ではない

どこ、いつ日も、人は絶えない


この素晴らしくも美しすぎない世界で

思い通りとも、そぐわないとも言えない世界で


何に命を燃やし

何を見るか


その命の流れを

この切なる躍動を


ただ続く行く末を

涙なしでは語れないだろう


それでも

お行きなさい

世界にはあなたを待つ人がいる

決して一人ではない

決して悲しみだけではない


だからお行きなさい

もうあなたは生まれたのだから

生きて居るのだから

だからそれを大切に

その命を抱えて

最後まで駆け抜けなさい


大丈夫

大丈夫だから


怖くないから

苦しいときは

泣いていいから

素直に愚痴をこぼしていいから


生きてる祝福を

受け取りなさい


ほら、見える?

ここがあなたの世界よ

もう、立てているじゃない

生きて来たじゃない


いつものように

また歩き出せばいいの

止まったっていいの


心に歩幅を合わして

行けばいいの

進めばいいの


生は選べるのだから

その自由があなたにあるのだから


さぁもう大丈夫でしょ

行ってらっしゃい


生きてらっしゃい。

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