第21話 挨拶程度の会話


「あと、魔力を与えたりはできませんので……作者なのに忘れました?」



リオスの声のする鳥は、そう言いながら私の頭の上をくるくると飛び回った。

私はその様子をポカーンと口を開いてしばらくその様子を見ていた。



「あなた……どこから現れて……というか、どこにいたのよ?」



「ちゃんとリイナの側ににはいましたよ、ずっと。でもリイナがいるときに、僕の姿が見えると、気を使わせるかと思いまして、あなたにも見えないよう完全に姿を消していました。」



「気遣い屋なのね」



そんなこと気にしなくてもよかったのに。

まぁこれで、あれはただの夢ではないという証明にはなったかしらね。



「でも、リイナもう行っちゃったわよ、離れてていいの?職務放棄じゃない」



「こっちの僕は分身なので。本体は、ちゃんとリイナのそばにいるのでご安心を。」



「そんなことできるの?」



「まぁ肉体が現世にあるわけじゃないので」



なるほど。


まぁ、神様ってある意味幽霊に似たような存在だから(見える人には見えるし、信じる人は信じるしという意味において)

そういうことはお手のものってわけね。




「でも、大丈夫なの?そんなことして」



「僕の身体的、能力的に問題はありません。」



「身体的なこと以外ならなんかあるってこと?」



「分裂すると2箇所同時に見るこことになるので、視野が狭くなったり、確認が疎かになったり」



「あー…二画面のテレビ見てる感じかな?」



「そうですね、あとは時間制限があるので、あまりしたくないのですけれどね。今神殿の中で神父とお話し中なので、大丈夫だと思いましてね。」



「なるほどね。」



確かに、いくら犯人は現場に戻るって言っても、あの事件以来警備強化された神殿に潜り込むとは思えないし、そもそも神父様のところにいるなら安全よね。


ながら見でも神様が見ててくれるなら大丈夫だ。


さて、挨拶とリイナの心配はここまでにして、本題に戻るとしよう。


私はここを抜け出したいのだけれど、この格好で一人で抜け出すには難しい。

でも神様がいてくれるなら……ワンチャンあるかもしれないわ。



「制限時間どのくらいなの?」



「今は挨拶程度のつもりできたので、この分身は1分程度で消えますが、最長一時間くらいはなんとか」



一時間もあれば、目的達成には十分ね。



「距離の制限とかある?」



「距離は特には……なぜそんなことを?」



流石のリオスも嫌な予感がしたのだろう。

私にそんな質問を投げかける。



「もちろん外出するためよ。」



「そうでしょうけど、何企んでるのか聞いてるんです。どこへ?」



「ロベリアを探しに行くのよ!」


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