第6話 幼い子

私が勤めるこの幼稚園。

3歳から5歳になる手前の子供たちが約245人いる。

ある時、いつもは出勤前のお父さんと一緒に幼稚園に来るAちゃんが、今日は何故か1人で来た。

危ないなぁと思いながらもA君に事情を聞いてみた。

「Aちゃんおはよう、パパとママはどうしたの?」

「あのね、先生、パパとママはお家で遊んでるの!」

「えぇ…?」

「パパはね、洗濯物みたいにブラブラしてて、ママは包丁でおままごとしてるの!!」

「そ、そうなの…」


「あそこのお父さん、仕事がうまくいかないとかため息ついてたから、いよいよ干されちゃったんじゃない?」

「あぁ、だから洗濯物。それに奥さんもノイローゼで鬱状態になってるらしいし。可哀想にねぇ、Aちゃん。」

他の先生たちがひそひそ話していた。


今日家庭訪問した方がいいかな。

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