第50話 中ボスの名はフウゴル

「フウゴル!//////」

「どうして、あなたが此処に居るのですか!?//////」


 アスは頬を染めた、驚きの表情で人間らしき物に話している。

 彼の名は『フウゴル』で有るらしい。


『人で有って安心した』と言いたいが、魔物が巣くう鉱床に人間が居るのはどう見てもおかしい。

 フウゴルはアスを冷めた表情で見ながら、低い口調で話し始める。


「見慣れた女だと思えば……アスか!」

「優しいだけが取り柄の女の癖に、何時の間にか黒魔法使いか…!」


「昔から……正義感だけは、とにかく強かったからな!」

「俺にも平気で、ビンタをする気丈きじょうな女だ!!」


「あの時……犯しておけば良かったな」

「女は無理矢理犯すと途端に、従順に成るからよ!」


「!??//////」


 最後の文章は、不気味な笑顔で言うフウゴル。

 アスは口を手で押さえて、酷く動揺を見せる!!


 幾ら何でも、未成年のアスに言う言葉では無い。


(フウゴルの話からして、フウゴルは養護施設に昔いた子ども?)

(だが犯すとは……少しだぞ(汗))


(そうすると……フウゴルはまだ未成年?)

(だけど男子なんて……高校生ぐらいに成ると、ほぼ大人と変わらんしな///)


 俺がそんな事を思っていると、アスは頬を染めた焦った表情で、フウゴルに説得を試みる!


「フウゴル!//////」

「馬鹿な事は言っていないで、教会に戻りますよ!!//////」


「神父やシスターが、どれだけフウゴルの事を心配していましたか!//////」


「アス……お前は何か、勘違いしていないか?」

「俺は自分の意志で、施設から出た!」


「最後に神父をぶん殴ったが、あれは喧嘩の意味で無く決別の意味だ!」

「だから、お前らに心配される筋合いは無いし、施設に戻る気も更々無い!!」


「……//////」


 フウゴルは冷めた表情でアスに話す。

 アスは頬を染めて、悲しそうな表情をしている。


 その時。リンが弱った口調で、俺に耳打ちをしてくる。


「スズヤ……これって、私たちはフウゴルさんと戦う事に成りますの?」

「人間同士で戦うのは……凄く、抵抗を感じるのですけど///」


「うーん。アス次第と言いたいが……フウゴルは恐らく、俺たちの味方では無いんだろう?」

「俺の中では、RPG定番の展開だよ……」


 俺は呆れた表情をして、小声でリンに話す。

 リンは怪訝な表情に成って、俺に強い口調で話し始める。


「RPGって何ですか。スズヤ!」

「もう、こんな大事な時に、スズヤはデリカシーがなさ過ぎます!!(怒)」


「…………」


(事実なんだがな……。此処でアスの説得や言葉を受け入れて、フウゴルは身を引く姿勢を見せないだろう)

(そろそろフウゴルは、俺を敵と見ながら話し始める頃合いだ!)


 フウゴルは定石通りに、俺を睨み付けながら話し始める。


「所で……お前達は、何なんだ!」

「タングステン鉱石を求めて、此処まで来たのは分かるが、只の商人や兵士には全然見えないのだが?」


「……俺の名はスズヤだ!」

「とある剣を作りたくて、その原材料がタングステンなんだ!!」


「後は、言わなくても分かるよね?」


 俺は緊張しながらも、澄ました表情でフウゴルに話す。

 フウゴルの反応を見る為に、最後の文章は挑発する様に言う。


 フウゴルは不敵な笑みを含ませながら、俺に話し始める。


「フフフッ……そうすると、お前達もアスの仲間か!」

「残念だが、これを貴様らに渡すわけには行かない!!」 


「バンタツミ様から、鉱石を求めてくる人間達を排除しろとめいを受けている」

「アスのなさけで、このまま無言で立ち去るので有れば、危害は加えないでやるよ!」


「あっ、でも、アスだけは置いといて貰おうかな?」

「しばらく見ないうちに、子どもガキを産める体に成っているし、積もる話も有るからな!!」


「…………」


(このまま、有無言わずの戦闘が始まるばかりだと思っていたのに、アス以外は見逃すと言ったよな?)

(最近のゲームは、こんなシナリオか!?)


(だが、アスを残して撤退するわけには行けない!)

(彼奴の言葉からして、アスを絶対手込てごめにするだろうし、更にはアスを懐柔して魔王軍の支配下に入れるだろう!!)


(もしそう成ってしまったら、メルメーサ王国は魔王軍の手に落ちたも同然だ///)


 俺とフウゴルの会話を聞いていたアスが、戸惑った表情でフウゴルに話し始める。


「フウゴル! バンタツミって、誰なの??///」

「私はそんな人の名前。聞いた事ないですよ!?///」


「あぁ……知らんのか?」

「お前らの世界では、魔王と呼ばれている人だよ!」


「俺はバンタツミ様につかえているんだよ!」

「アス!!」


「!!」


「!!」


「!!」


「……」


 フウゴルが馬鹿にした表情で、アスに向けて言う。

 俺たち三人は、フウゴルが魔王の手下と聞いて驚く。


 コハルもその時だけは、真面目な表情に成っていた。

 フウゴルはアスの方に近付きながら、不気味な笑顔で言い始める。


「アス! 俺と一緒に新しい世界を作ろう!!」

「お前は黒魔法使いで有るから、バンタツミ様もお喜びに成るだろう!!」


「いっ、いや……来ないで///」

「フウゴル//////(泣)」


『ペタン///』


 迫り来るフウゴルに、アスは怯えた表情を見せると同時に尻餅をつく!

 アスの中では、会話で解決出来ると考えていたのだろう。


(この辺が……作者描写限界かな?)

(じゃあ、定石通りに、俺がフウゴルの前に出るか!)


『バッ!』


 俺はゲームの主人公らしく、アスの前に出てアスをかばいながら、フウゴルに勇ましい表情で話し始める。


「フウゴル! 残念だが、フウゴルにアスは渡さない!!」

「これ以上、アスに危害を加えようとするなら、こっちも本気に成るしか無いぞ!!」


「ほおぉぉ~~~。面白い!」

「この俺様に、お前みたいな男が勝てるとでも思っているんか!?」


 フウゴルは言葉の後。

 鞘から剣を取り出しながら、猟奇じみた表情で俺に言い始める!

 

「なら、先ずはお前達を殺してから、アスを強姦レイプするわ!♪」

「じゃないと、アスを完全服従させる事が出来ないからな~~♪」


 これが……魔王に魂を売った人間の姿で有った。 

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