第49話 リンの活躍と中ボス戦

「ワットブライト!」


『ぽわーん』


 リンは和やかな表情で魔法を唱える。

 リンの目の前には、光球が現われて浮いている。


 そして、この光球は調光機能が付いた電球の様に、明るさ調節が出来るらしく、最低限の明るさにリンは調節している!!

 これぞ、魔法らしいと言えば良いだろうか?


 光量調節を終えたリンは、穏やかな表情で俺に話し始める。


「スズヤ! この光球を鉱床内に入れてしたら、私が右手を挙げて眩しい光を出します!!」

「それが、眩しい光を出す合図です!!」



「オークが岩場等に身を潜めていても、突然の眩しい光に驚いて、飛び上がって外に出て来るはずです!」

「そこを一気にスズヤの剣と、アスちゃんの魔法で倒しましょう!!」


「分かった、リン。じゃあ、俺とアスは入口手前まで移動する!」

「後、俺にパプロナミンを掛けてくれ!」←一時的に攻撃力を上げる魔法


「アスは手前まで行ったら、オスキャを直ぐ唱えられる様に!」

「そして、俺もだが、リンの合図を良く見ておく様に!!」


「はい。分かりました!」

「スズヤさん。リンさん!!」


「~~~♪」


 リンの言葉の後。俺は理解した表情でリンに話す。

 アスは真面目な表情で、俺とリンに返事をする。


 コハルは笑顔で、俺たちの会話を聞いていた。


『こそ、こそ、―――』


『こそ、こそ、―――』


「……」


「……」


 リンに『パプロナミン』を掛けて貰った俺は、アスと一緒に足音で気付かれない様に忍び足で坑道入口前まで来たが、オークが奇襲攻撃を仕掛ける気配は見せない。

 アスの言葉通りなら、坑道内入った直後を狙っているのだろう。


 松明たいまつなどを持って、鉱床内に入った直後で有る。

 俺たちの目が、まだ暗闇に慣れていないのを狙って、オークが奇襲を仕掛けるという!


 俺とアスから少し離れた場所で、リンが光球を意志で移動させて、薄暗い光球を鉱床内に入り込ませる。

 薄暗くても、光球を坑道内に入れたが動きは無い?


 しかし、オークが潜んでいるのは間違いないだろう。

 その時、リンが右手を挙げる。


『パシャ!』


 前世界で言う、カメラのフラッシュが坑道内に光ったのが、屋外に居た俺やアスでも分かった!

 そして、直ぐに鉱床内へ動きが有った!!


「ギャオォォンン~~///」


「ギャオォォンン~~///」


 フラッシュ攻撃で驚いたオークが、慌てふためいた声を上げて、二体らしき物が鉱床外に出て来る気配を見せる。

 俺は剣を構え、アスは魔法を唱える体勢を作る。


「ギャオォォンン~~///」


「ギャオォォンン~~///」


 オーク二体が鉱床外に飛び出たタイミングで、真横を通るオークに俺は切り付ける!


「ギャ、ギャ、ギャオォォンン~~」


『バタン』


 不意打ちで為す術の無いオークは、俺の攻撃で致命傷を受けて倒れ込む。


「オスキャ!」


『ゴロ、ゴロ、ドカーン!』


「ギャオォォンン~~」


『バタン』


 アスの方も『オスキャ』を唱えて、オークに雷撃を喰らわす。

 俺は直ぐに、アスの魔法攻撃を受けたオークに近付き、止めを直ぐに刺す!


『グサッ!』


「ギャ、ギャ、ギャオォォンン~~」


「……これで鉱床入った直後の魔物は、倒した事に成るな…(汗)」


 俺は、冷や汗をかいた表情で呟く。

 アスは俺の側に居るので、和やかな表情で話し始める。


「リンさんの作戦は見事でしたね!」

「スズヤさん!!」


「あぁ!」

「白魔法使いは、後方支援扱いだと感じていたが、閃きによっては戦力に十分成るな!!」


 俺は感心した表情でアスに話す。

 もし、歩哨が居ないからの気楽な理由で、俺たちが鉱床内に入っていたら大ダメージを受けていただろう。


 今回は本当にリンの活躍で、強敵と成るオーク二体を軽々と倒した。


 ☆


 コハルが道案内を一応してくれるが、三回目の鉱床探索と成るので、スムーズに奥地まで来る事が出来る。

 後少しで……奥地に居る中ボスとの対峙が始まる。


 俺たち三人は中ボス戦に備えて、シスターから貰ってきた丸薬を飲み始める。

 三人が丸薬を飲み終えたタイミングで、コハルが笑顔で話し始める。


「それだけ用意周到なら、確実に勝てると思うけど油断はしないでね♪」

「後……この戦いに関しては、私は完全見守りに入るから、私を絶対頼ってはダメだよ!♪」


『はい!』


 俺たち三人は同時に、真剣な表情でコハルに返事をする。

 丸薬も飲んだし、魔力の入ったアンプルもが一本ずつ持っている。


 鋼の剣も予備がと有るし、今使っている剣もまだ、魔法剣化はしていないので問題は無い。

 俺たちは曲がり角を曲がって……タングステン採掘場に向う。


 鉱床直前からは、何故か篝火かがりびが幾つも設置されていて、坑道内はリンの『ワットブライト』が不要に成るぐらいの明るさが有った。

 中ボスとなる魔物は、一体何物なんだろうか?


 俺たち三人は緊張した表情で、その奥に進んでいく。


「いよいよですね。スズヤ(汗)」


 リンは、声が上擦った口調で俺に言う。

 アスの方も緊張しているらしく……


「今まで感じた事が無い気配です……コハルさんでは無いですが、かなりの苦戦を強いられる気がします」


「~~~♪」


 アスは五感が冴えているので、敵の気配から相手の力を読み取っている感じだ。

 ちなみにコハルは笑顔で、後を付いて来ている。


 ……鉱床目前に魔物と言うより、人間らしき物が居た!

 その後ろには都合良く採掘された、タングステン鉱石が無数に散らばっている。


 見掛けは、メルメーサ王国兵士に良く似ている外観だが、こんな場所に王国兵が絶対いるわけが無い!!

 背丈も170cm以上有って、プレートアーマーを装着しているから分からないが、がたいも非常に良さそうだ!///


 また、腰には鞘に格納された剣も見える。


(RPG定番の、彷徨さまよう鎧か何かだろうか??)


「……」


「!?//////」


 だが、人間らしき物が言葉を発する前に、その人物を見たアスが非常に驚いた表情をして、同時に頬も染めていた!!

 もしかしなくても、アスの知り合い!?///

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