第9話 異世界で、子ども食堂をつくるには?

 ……


 俺はリンと城下町である、パプテトロンの商業地域に有る市場見学後。

 俺はリンに頼んで、この町に有る教会へ行く事とした。


 俺はパプテトロンに子ども食堂を作りたいが、勝手には作れないし、お金や調理器具を揃える問題なども有る。

 この国の戦争孤児は、教会が面倒を見るらしいので、俺が教会の一員に成れば、子ども食堂を開設出来るのでは無いかと考えた。


 リンの話通りなら、教会は王国から毎月。たくさんの養護費(補助金)を貰っている。

 だが、教会は戦争孤児たちをキチンと面倒見ていないのか、見切れていない?


 教会がちゃんと、片親の子どもや身寄りの無い子ども。戦争孤児たちを見ていれば、市場に行き先のない、子どもたちが溢れてはいないからだ。

 リンの話に依ると、この教会には、神父とシスターの両方が居るそうだ。


 この二人は夫婦なのだろうか?


 ……


 俺とリンは教会に到着する。

 教会も、RPGや前世界で見た教会と同じ形をしている。


 教会の扉は閉まっているが、教会内には神父かシスターが居るはずだ。

 リン親子は日曜礼拝にこの教会に来ているから、子ども食堂に関する切り出しはリンにお願いする。←俺はまだ、日曜礼拝には参加していない


『ギイィィ~~』


 教会の重い扉を俺が開けると、教会内は定番風景を見る事が出来る。

 礼拝堂内に人気は無く、壇上には神父やシスターの姿は見えない?


(もしかして、休み?)

(そんな訳無いか!)


「……」


 でも、リンは無言でスタスタと祭壇の方に向かって行き、更に祭壇の奥に進んでいく。

 俺はリンの後を付いて行く。


 祭壇の奥には扉が有った!

 此処で礼拝堂と、神父達住居区の区切りに成るのか?


『こん、こん、―――』


 リンは慣れた手付きでドアを叩く。

 しばらくすると……ドア向こうから声が聞こえて来る。


「はーい。どちら様ですか?」


 おばあさんの声が、ドア向こうから聞こえて来る。

 リンは和やかな表情で、ドア向こうのおばあさんに話し掛ける。


「シスター!」

「リンです!!」


「おぉ!」

「リンですか!!」


「今、ドアを開けますね!」


 ドア向こうから、おばあさんが陽気な声で言った後。此処でドアが開き、シスターが姿を見せる。

 シスターはちゃんと、シスターらしい姿をしている。 


 シスターはリンに顔を向けて、穏やかな表情で話し始め出す。


「リン。今日はどうしましたか?」

「何か……悲しい事や、悔いを改める出来事が有りましたか?」


「いえ。今日は違います」

「実は……神父やシスターに紹介したい人と、お願い事が有りまして……」


 リンは表情でシスターに話す。

 シスターはリンの言葉の後。俺の方に顔を向ける。


「……この人が、リンが紹介したい人ですか?」


 シスターは俺を、品定めする表情で見ながらリンに話す。

 リンは遠慮する表情で、シスターに話し始める。


「はい……そうです。シスター」

「現在。私の家で住んで貰っている、スズヤと言う人です」


「……スズヤ?」

「聞いた事ない名前だね?」


「私の勘だけど、スズヤはこの国の人では無いよね?」


 シスターは眉を吊り上げるながらリンに話す。

 俺は此処で、シスターに穏やかな表情で話し始める。


「シスター。初めまして!」

「俺は異世界から来た、モガミスズヤと言います!!」


「……異世界?」

「そうすると、あなたは、この世界の住人では無いと?」


 シスターは怪訝な表情で俺に話す。

 俺が言葉を発する前に、リンが割り込むようにシスターに話し始める。


「シスター!」

「スズヤはメルメーサ王国の王国民では有りませんが、スズヤは行き倒れの人でして、その時に何かの障害を持ってしまったのです!///」


「ですので、時々。変な発言をする時が有るのです……」


(やっぱり、リンは俺が異世界から来ている事を信じないか…)

(まぁ、普通の人はそうだよな……)


 リンの言葉の後。

 シスターは俺に近付き、俺の両肩に両手を添えながら、優しい表情で話し始める。


「スズヤ!」

「私はあなたの過去を問いませんし、攻める行為もしません…」


「あなたの記憶が無事に戻る事を、神にお祈りしましょう!」


「……」


(うーん。どう答えよう?)

(俺は記憶なんて失っていないし、キチガイでも無い!)


(だが、これ以上の事を言っても、シスターは信じないだろう)

(ここは『郷に入っては郷に従え』をしておくか!)


 俺は困った微笑み表情で、シスターに話し始める。


「シスター」

「俺は神にお祈りして、一日でも早く本来の自分を取り戻したいです!」


「スズヤなら、そう言うと信じていました!」

「さぁ、今から、神にお祈りしましょう!!」


 ……


 俺はこの後。

 シスターを含む三人で祭壇に移動して、其処でお祈りを始める。


「―――アーメン」


「アーメン」


「アーメン」


 シスターの言葉の後。リンが言うので、俺も言っておく。

 ちなみに俺は無宗派だ。


 アーメンと言っているから、多分キリスト教系だと感じるが、俺には興味が無い。

 だが、RPGのように死んだら教会で、復活が出来るかな?


 神へのお祈りも終わり、シスターは俺とリンに向けて話し始める。


「リンにスズヤ」

「無事に神へのお祈りはすみました」


「後は、神のご加護あるのみです」

「それで……お願い事とは何ですか?」


 流石シスターだけ有って、本来の件もと覚えていてくれた。

 俺は穏やかな表情で、シスターに話し始めだした。

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