第5話 リンからのお願い

「スズヤさん!」

「スズヤさんがお礼をしてくれると言うなら、私は敢えてお礼を要求しますが、私が結婚するまでは、スズヤさんが私の代わりに成ってください!♪」


「!?//////」


 リンは、凄く嬉しそうな表情で俺に話す。

 俺はリンの言葉を聞いて、頬を染めながら驚く!


(未婚の俺が行きなり、年頃の美少女を娘目線で見ろと言うの!?///)

(この唐突さも、異世界らしいな///)


「ねぇ~~。ダメですか~~。スズヤさん♪」

「私はお父さんの事が大好きでしたから、スズヤさんもに見えてしまうのです~~♪」


 リンは甘える表情で、俺に言葉を続ける。

 俺だって、リンを娘目線で見るのは嬉しい。


(でも、結婚と言っていたから、リンにはもう婚約者か許嫁は居るんだよな(汗))

(本来なら俺がリンを嫁にしたい所だが、そんな行為に走れば、俺は婚約者か許嫁に殺されるだろう///)


 俺は困った笑顔でリンに話し始める。


「それが、リンさんが望む事で有るなら、俺はそのお礼をするよ」

「俺も、家族を作る事は気になっていたし……」


「やった♪」

「じゃあ、今からはスズヤさんでは無く、お父さんですね!♪」


「今からよろしくです。お父さん!♪」

「後、もうでは無く、呼び捨てで良いですよ!!♪」


 リンは弾ける笑顔で俺に話すが、これはリンが勝手に決めた事で有り、リンの母親はこれを知らない。

 俺は困った表情でリンに話し始める。


「俺としては、住む場所が偶然でも決まって嬉しいのだが…」

「だが、リン…。まだ、リンの母親が認めたわけでは無いだろう?」


「大丈夫ですよ。お父さん!」

「それは、私から言っておきますから!!」


「お母さんも喜ぶと思いますよ!」

「体力は殆ど回復しているはずだけど、今日だけはしっかりと休んでね。お父さん!♪」


 俺の言葉の後。

 リンは笑顔で俺に話す。


「……」


 前世界なら絶対、有り得ない話で有るが、これも異世界なんだよなと思いながら、俺はリンの家でお父さんの役を貰いながら、しばらくは住む事と成った。

 本来の予定では俺は自殺を完遂して、今頃は天国か地獄に居るんだろうけど、異世界に飛ばされてしまった。


 だが、異世界に来た以上は、俺も勝ち組の人生が待っているのだろう?


 ……


 俺がリンの家で、お父さん役を貰いながら住む事はリンの母親も何故か、笑顔で承諾してくれた?

 リンの母親も、元夫に似ているからの理由で、俺を住まわすのだろうか??


 だが、役でも家長と成った今。

 俺はこの世界で、働く行為をしなければ成らない。


 だが、リンの話に依ると『お父さん! この世界はね、兵士さんになるか、自分で商売を見付けるんだよ』と、和やかな表情で言われてしまう。

 この世界は会社(企業)と言うのは存在しなくて、個人経営の店(商店)しか存在しないらしい。


 また、個人経営の社員(スタッフ)も、身内で固められているので、外部の人は殆ど採用しない?

 リンの家周辺は森林と成っているので、きこりに成る事は可能だ。


 なので、俺は王国の兵士に成るか、それとも樵に成るか、若しくは起業するしか無いらしい。

 兵士は論外で有るし、樵も言い換えれば林業で有るから、楽な仕事では無い。


 俺は起業するしか道が無いのか?

 

 ☆


 メルメーサ王国と魔王国(軍)との戦況は、ウク○イナ、ロ○アと同じ様な膠着状態で有り、どちらも決め手に欠けているらしい。

 メルメーサ王国以外にも、王国や公国が数国有るらしいが、魔王軍と現在全面衝突しているのはメルメーサ王国だけらしい。


 メルメーサ王国は魔王軍の対策として、魔法の効果を上げる研究や新型装具の開発。

 新型魔法の開発をしているのに対し、魔王軍は人海戦術で攻めているそうだ。


 兵力に関しては魔王国の方が遙かに優勢で有るが、魔王軍は肉弾戦がメインで有って、メルメーサ王国の様に魔法攻撃は出来ないし、メルメーサ王国も戦力・兵器不足で膠着状態が続いてしまっている。


 信憑性は無いが、魔王国の総大将で有る魔王は怪物では無く、人間らしい?

 元々、魔王国(軍)と呼ばれる様に成ったのは、マルコ500年代に入ってかららしく、それまでは未開地で有ったそうだ。


 その未開地に国を立ち上げ、動物達を凶暴化や改良して、魔王が今の魔王国を作り出した?

 力を付けた魔王国は一つの公国を占領後。しばらく時が経った後、メルメーサ王国に戦争を仕掛けた。


 魔王国の由来は、魔王が魔王国と宣言したのでは無く、魔物の巣窟意味で、魔王国と有る時から、呼ばれる様に成ったそうだ。

 魔王の姿もの様に見えるから、魔王と呼ばれる様に成ったらしい?


 ……


 戦争の起因を俺はリンから聞いたのだが、魔王国はメルメーサ王国から産出されるマホトット(魔法物質)が、喉から手が出る程欲しいらしい。

 これを使えば、魔王軍でも魔法が扱える様に成るからだ。


 そして、マホトットはメルメーサ王国以外では、産出出来ない物質らしい。

 前世界で言えば、レアメタルやウランの様な存在だ。


 メルメーサ王国もマホトットが魔王国の手に渡れば、世界が破滅する事が分かり切っているので全力で抵抗する。

 魔法を使える人は素質や、遺伝子の関係も有るが、決め手はマホトットである。


 マホトットを装着しなければ、素質や相性が良くても魔法は使えない。

 装着しやすいよう、指輪やネックレス型にマホトットの粒子を混入させて製造する。


 リンの場合は、指輪タイプで有った。

 面白い事に最初の装着時。人と装具の認証が勝手にされて、他人が装着しても魔法は発動しない。


 マホトット装具の製造は王国の城内で行われており、進呈も王の目前でしか行われない。

 俺は近い内に、王国魔法の適性診断を受けて、魔法が使える体質なのかを見て貰う。


 俺に魔法が使える事が出来れば、この異世界の生活は様変わりするだろうし、もしかしたら勇者にも為れるかも知れない!?

 だが、俺に勇者の素質なんて無いと思うから、勇者の道を目指すより先ずは、お金を稼ぐ方法を見付けなければ……


 ……


 ☆序章☆


 ☆おわり☆


 次章『異世界で子ども食堂を開きたい!』に続く……

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